うつ病の治療 目に見えない心の病気との戦い方    

 

 

PDF①  日本うつ病学会治療ガイドラン Ⅱ.うつ病(DSM-5)/ 大うつ病性障害 2016

PDF②  日本うつ病学会治療ガイドライン Ⅰ.双極性障害 2017

追加更新 

PDF 日本うつ病学会診療ガイドライン 双極性障害(双極症)2023

■ 関連外部サイトの紹介 ➡ 日本うつ病学会  気分障害の治療 ガイドライン検討委員会

 

うつ病は落ち込むだけの病気ではない。例えば心房細動だと、うつ病の併存で心臓死(もっといえば不整脈死)のリスクを1.5倍以上にする。うつ病の治療は、心のためだけでなく身体のためにも重要。  精神科医 ぷしこノート

鬱(うつ)病 の 治療の過程は、患者と医師、そして身内や周りの方々の総合的な試行錯誤と理解の過程でもあります。

鬱病の治療がどこか曖昧な感じがするのは何故かと言えば、鬱病それ自体が単一ではない構造や原因をもっているためであり、そもそも精神や心は目には見えないから厄介なんですね。

目には見えない心の病気の正体を具体的に定義していかなくてはいけないし、定義した後も、回復までずっと目には見えないものとの戦いが続くわけですね。

例えばこれがインフルエンザのような病気であれば、インフルエンザウイルスが原因であるとハッキリ証明されているわけだし、ウイルスを物理的に確認する事も出来るわけですが、

心・精神というようなものは、静的に捉えられるようななものではなく、動的で複合的なものであるため、物理的・生理的な疾患のようにその全体的な静的な状態を確認する事は出来ず、

総合的な観察の結果から、専門的・経験的に統計的に判断することによって、その時点での患者の心・精神の運動状態の全体像は「おそらくこういう状態だろう」と、大まかに掴む事しか出来ません。

そして検査や症状から、どのタイプの鬱(うつ)病に分類されるのかを選定し、そのタイプに当てはまる治療法を施し、そして治療後の反応や様子を観察し、

それぞれの患者が心の病をどのような因果関係で引き起こしているのかをより明確にしながら、さらにより適した次のステップに移行するという具合に、患者と医師が共に試行錯誤しながら取り組んでいくしかありません。

鬱病は「注射を打てばそれで終わり、手術して摘出すれば終わり」というような明確な治療ではないのです。

もちろん、人によっては「私はある治療で劇的に短期間で回復しました」っていう体験談とかもあったりしますが、そういう場合も確かにあるのでしょうが、

では同じことが誰にでも完璧に効くか?といえば、その方法が他の人には全く効果がない場合も多々あるわけなんですね。

また最近では脳科学の発展によって、脳内物質が意識状態の変化に大きな影響を与えているのことは広く認められていることであり、様々な薬品の開発も進んでいますが、

どのタイプの鬱病か?ということを間違えてしまうならば、逆にその薬を服用したがために酷くなる可能性も当然あるわけで、また、鬱とよく似た症状の別の精神障害を鬱と断定した場合にも、

当然それは不適切な治療となるから余計に酷くなることもあるわけです。医師の判断ミス、ズレた治療によって精神科医への不信感が起きてしまう事はこの不確定な分野においては実際多々あるでしょう。

 

鬱によく似た症状を呈する他の精神障害には、

心身症、認知症、統合失調症、心的外傷後ストレス症候群(PTSD)、パニック障害、強迫性障害、社交不安障害、不安障害・神経症性障害など、これだけ多くのものがあるんですよね。

しかも鬱によく似た症状を呈する他の病気は、精神障害に限ったわけでもないんです。

糖尿病、肝臓病、腎臓病、慢性疲労症候群、脳血管障害・甲状腺の機能障害なども、うつと勘違いされてしまうような症状を呈する病気なんですね。

ナシア・ガミー著「気分障害ハンドブック」より

〇 『 うつ状態を診たときに続発性の可能性を除外しなければうつ病と診断できない。』
〇 『うつ状態が頻発する三大身体疾患は、
心疾患・神経疾患・内分泌疾患 』
〇 『身体疾患ではない続発性
うつ状態の原因は大半は薬物乱用と処方薬によるもの 』

例えば糖尿病なのにそれを見落とし鬱の薬だけを飲まされ続けたとするなら、全くズレた治療になってしまうのはまぁ当然の結果でしょう。

つまり鬱(うつ)病の治療には豊富で熟練した臨床経験が求められるわけですね。心理学者・精神科医は信頼出来るか?でも書きましたが、個人差が激しいのがこの分野の治療の実情なんです。

ですが徐々にこの分野も更新・確立していくでしょうし、将来はもっと精度が高くなって担当医による個人差は今よりは減っていくと予想されます。

 

薬でうつ病やPTSDを予防することは可能か?

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