「身体の心」のテーマで、今日は「気持ち」と「体」と「技術」そして「ネガティブ」と「ポジティブ」がテーマです。
楽天のマー君が凄い記録を打ち立てましたが、彼は「気持ち」ということを一貫して言い続けていますね。マー君のブログのタイトルも「気持」です。 その見事な集中力と精神力を支えているものは確かに彼の気持の強さなんでしょう。
ですがあの突出した結果を生み出した背景にある力学というのは、本当に「気持ち」ただそれだけでしょうか?
私がとても感慨を受けたジャック・ニクラスの大好きな名言があります。ジャック・ニクラスという人を知らない人もいるかもしれませんが、彼は歴史的な天才アスリートであり、プロゴルファーです。
その彼の言葉がこれです。
自分自身をコントロールすること。それは激情を抑えることではない。激情を自分に起こさせない能力をいうのだ。
このブログでもよく書いていますが、人の能力や才能の開花というものは、道徳教育のように『 単に否定的なものを「抑圧」して、「正しさ」を言葉で言い聞かせる』ようなものとは全く違うということです。
「激情を自分に起こさせない能力」というものが深い表現なんですね。これは「激情」を生みだしている「無意識の潜在パワー」を抑圧するのではなくて、
「無意識の力」はそのまま持ちつつ、無意識を意識化し統合することで「無意識の力」を才能や能力として生かしているわけです。
ところが「上から抑え付けるだけの道徳教育」では、「無意識の潜在パワー」を顕在意識の理性で抑え付けるだけなので、自我は縮小し、結果的に「無意識の潜在パワー」が引き出されなくなり才能や能力が開花せず、
『創造的に悪いことも出来ないかわりに創造的に良いことも出来ない、均一化した「頭デッカチな行儀の良い子」』を量産します。これが現代日本の道徳教育のやり方なんですね。
無意識の意識化というものは「抑圧」でも「開放」でもなく、無意識の機能を統合することで、それを創造的に生かすことです。では、ジャック・ニクラスの他の名言を幾つか紹介しましょう。
そうさ、私はラッキーだったんだ。 そして一生懸命練習すればするほど、ラッキーはたくさん起こるのさ。
「失敗を恐れない」という姿勢では弱い。「必ず成功させるのだ」という強い意志を持て。
心から楽しめることにのみベストを尽くせる。ちっとも楽しくないことに能力を発揮するなんてのは至難の業だよ。
長く待ちすぎるより、早すぎる行動に価値がある。
勝つことに対する恐怖は負けることに対する恐怖よりも乗り越えるのが難しい。
勝敗を分ける重要なパットは、自分の直感に従え。
「技術」対「精神力」
記事前半の問いかけに戻りますが、結果を生み出す背景にある力学というのは本当に「気持ち」ただそれだけでしょうか? ここで実際に驚異的な結果を叩き出してきた人である「イチロー」の名言を紹介します。
彼は「結果」の背景にあるものをどのように分析しているのでしょうか?まず以下の動画を紹介します。 リンク先にてご覧になれます。 ⇒ イチロー精神力に勝る技術力
彼は結果を支えているものは精神論ではなく「技術」だと言っていますね。この言葉もシンプルなのに深いです。
彼のいう「技術」というものは「小手先の技術」のことではありません。彼の言う技術というものは「暗黙知」のレベルであり、心・技・体がひとつになるほどの心身に深く根付いた技術の意味。
つまりこれも、無意識の意識化のことであり、無意識が統合化され具体的に生かされているレベルの技術ですね。イチローもやはり無意識を知っています。彼のこんな名言がありますね。
自分で無意識にやっていることを、もっと意識をしなければならない。
顕在意識レベルの「小手先の技術」であれば、あれほどの結果は出せません。それでは以下に彼の他の名言を幾つか紹介します。
少しずつ前に進んでいるという感覚は、 人間としてすごく大事。
結果が出ないとき、どういう自分でいられるか。 決してあきらめない姿勢が、 何かを生み出すきっかけをつくる。
第三者の評価を意識した生き方はしたくない。 自分が納得した生き方をしたい
決して人が求める理想を求めません。 人が笑ってほしいときに笑いません。 自分が笑いたいから笑います。
自分を殺して相手に合わせることは、僕の性に合わない。 まして上からいろいろ言われて、納得せずにやるなんてナンセンスだと思います
やらされる練習じゃなければ、いろんなことが、うまくまわってきます。
自分自身が何をしたいのかを、忘れてはいけません。
つまり、「心・技・体」は全て大事であり、この全てがそれぞれに高められ、ひとつに結びついて機能する時、人は最高のパフォーマンス、自己実現、才能開花できるというわけですね。⇒ アスリートたちの名言集
「ネガティブ」対「ポジティブ」
今回は自己実現や才能開花のための心理学的なテーマの記事でしたが、無理にポジティブになることはありません。
「心・技・体」の中の「心」だけを過剰に言い過ぎるのが精神論です。ですが結果を出すには「技」と「体」の協力も不可欠です。
なので、「心」だけを過剰に問題にしたり、「技」だけを過剰に問題にしたり、「体」だけを過剰に問題にせずに、過剰にではなくバランス良く総合的に「心・技・体」を高めていけば良いのです。前に書いた以下の記事もテーマが重なるので参考にどうぞ。
〇 ネガティブとポジティブの心理学 幸福と苦しみへの二つのアプローチ
〇 過去のことを後悔しても無意味? 後悔は後ろ向きなネガティブな姿勢か?
そしてプラス思考というものは確かにマイナス思考よりは良いですが、強制したり、無理やりにプラス思考にもっていくようなやり方は、「道徳教育」のやり方と同じく「ただネガティブを抑え付けている」だけであり良いとは限りません。
「状況」が変われば人は自然にプラス思考になれる生き物だからです。なので、プラス思考でネガティブを克服するのではなくて、「状況」に囚われ過ぎないことで「ネガティブ」をまずなくすことが先決ですね。
つまり「他者との比較」によって劣等感や優越感が生まれているわけだから、その場合は「他者との比較」への囚われの強さを弱めることが心理的に有効です。
そして「状況」を変えていくには「心・技・体」を高めることが有効です。それでは最後に以下の記事を紹介してこの記事の終わりとします。
「プラス思考は逆に悪くする 2009年7月3日 BBC Healthから」 より引用抜粋
心理学者のジョーン・ウッドは「プラス思考は自分に自信がある人には効果があってもそうでない人には逆効果です」と言う。
イギリスPsychological Societyのスポークスマンであるサイモン・デルソープは「自尊心は現実に立脚しているのです。自信をつけるように指導するのがカウンセリングであって、物事が事実より良いと自分に言い聞かせるのとは違う。
自信がつくものとは、家族との良好な関係であり、幅広い友人関係、雇用、容貌なのです。家族と疎遠で友人がいなくて仕事を失って自分の容貌に自信がなければ自尊心は相当傷つく。
しかし物事をその逆に出来るならあえてプラス思考を考える必要が無い」と言う。 – 引用ここまで- (続きは下記リンクより)
引用元⇒ プラス思考は逆に悪くする
コメント
全くその通りだと思います。
本当、恐ろしく?為になる?
気が付かされる事の多いwebページに出会えた事に、『ツイテル』と言わさせて下さい。