イジメと闘争社会の心理 part2 です。
part1では日本人は弱者に厳しいという他記事の紹介と、日本人的なイジメをテーマにしてきたが、今度は逆の意見や他の角度から本当にそうなのか?というものを探ってみましょう。 まずは逆の意見を紹介します。
やや古いニュースですが、生活保護がアルバイト・パートの低賃金を上回り、不正受給などの問題がクローズアップされた時期がありましたね。
日本の弱者への社会保障は充分すぎるほどであり、生活保護の支給総額は3兆円を突破したということです。その辺りからの「日本人は弱者に厳しい」ということへのアンチテーゼです。
nifty ニュース より引用抜粋
「生活保護の年収300万円」は果たして「弱者に厳しい国」だろうか=本誌編集部
決して「弱者に厳しい」とはいえない日本。なのになぜ「冷たい国」といわれるのか。「マスコミと知識人が、日本はダメだという悲観論ばかり流しているからでしょうね。
暗い話で危機をあおったほうが、大衆にウケるという思い込みからでしょうが、日本の大衆の知的レベルは非常に高くなった。必要とされなくなった彼らの悪あがきにつきあう必要はありません」
(前出・増田氏)たしかにPISA(「生徒の学習到達度調査」)の順位が下がるたびに「学力崩壊だ!」と大騒ぎするわりには、
健康・初等教育などを総合的に判断する「子どもの発達指標」(NGOセーブ・ザ・チルドレン調査07年)で日本 が137か国中1位になったことなどは、ほとんど報道されない。
「環境的に住みやすい国」(米リーダーズダイジェスト調査)でも12位、英国BBCの「好感度をもてる国」でも、常時ベスト3入りの日本。にもかかわらず、
昨年の「国民の幸福度調査」(米ワールドバリューズサーベイ)では48位。この落差は事実と乖離した徒な悲観論の影響ではないだろうか。
引用元 ➡ http://news.nifty.com/cs/magazine/detail/sapio-20090716-01/4.htm
日本という国・社会の構造が何もかも全てがおかしいとは思いません。むしろこれほどインフラが整備されており、治安が良く、平均値が高いレベルで維持されている国は少なく、
またとても豊かな自然・文化・歴史を持ち、この国に多くの長所を見出すことが出来ます。
ですが、世界に評判がいい日本人のイメージ = 日本人は本当は幸福で優しくて、日本は住みやすい国だ、という結論には実は大きな落とし穴があります。
それを今から説明していきましょう。まず、日本に住んで働いている日本人と、 そのサービスを受ける側の「お客さん」の立場としての外国人では、印象が真逆になるのは当然なんですね。
「早く安く正確で親切」という潔癖なサービスの質、その仕事の質を全体レベルで教育された日本人は、 そもそも「お客様・人様」の文化を根底に持ち、
「他人様にどう見られるか」「人様に迷惑をかけない」を基準とした空気を過剰に気にする相互協調的な社会性を子供の頃から植え付けられています。
「早く安く正確で親切」なサービスを受ける側、つまり外国人の旅行者や短期滞在者などが、「日本人が素晴しい」とか「好感度の高い国」なとと感じるのは「客の立場」から見れば当たり前で、
そこから日本人が悲観的なんだと結論付けるのはおかしいんですね。
「早く安く正確で親切」なサービスを与える側、つまり日本に住み働く人々は、単にお客様であるだけでなく、がんじがらめの日本人的社会や企業体質の中で、日本のサービスの内部、社会の内部を体感しながら生きているわけで、
その日本人が日本を単純に何もかも素晴しいとは感じていない、という人が多いのだから、その方が遥かに真実であるのは当たり前のことなんです。
平たく言えば、周囲から見て常に「良い子」でなければならない国民なんですね。
平均的に「周囲から見て常に真面目で行儀良い子であらねばならない」を世界で最も徹底された「人様・お客様・世間様」の国なんですから、
そりゃ「お客」で関わったり「浅い関係」などだったら、傍目の印象的には「素晴らしい、好感が持てる、行儀が良く治安もよく住みやすい」となるのは当然でしょう。
良い子は善人?幸福?
ところで「良い子で好青年」というのは、近所の評判は悪くないのはお決まりです。ですが良い子で好青年本人が本当に善人で幸福なのかどうか?本音はどうなのか?それはまた別の話です。
先に紹介した上の引用記事のように、
「近所の評判は悪くない良い子で好青年」=「幸福」であり、「それを悲観論者が捻じ曲げている」という結論の導きかたはおかしいです。
後、もっと決定的なのが、「マスコミと知識人の悲観論」の影響力など、現場で働く日本人の意識に対して殆ど関係ないですよ。
私も今まで様々な現場で働いてきましたが、知識人の悲観論なんて内容のテレビやら雑誌やらをジックリ見たり読んだりしている人なんて殆ど聞いたことありませんね、
大体視聴率も低いし人気ないんじゃないんですか?そんな面白くもなんともない知識人の暗い番組や記事なんて。(中年~高齢者とかは一部はみているかもしれませんが)
若い働き盛りの大人はみんな大抵はドラマ、お笑い、スポーツとかがメインですよ。ですが日本の企業や社会への疑問、鬱積した不満や怒りや失望感は、むしろ若い大人の方が強いくらいですよね。
だから悲観論の影響とかではなく、日本の現場、日本の内部事情をありのままに見て感じて本音を言っていると私はそう感じましたね。
世界幸福度指数(人生満足指数)
1位デンマーク 2位スイス 3位オーストリア 4位アイスランド 5位バハマ 6位フィンランド 7位スウェーデン 8位ブータン 9位ブルネイ 10位カナダ
「幸福度ランキング」では大体、北欧とか、スイスなどの国はいつも上位にありますね、ブータンは結構順位が変動しますが、以前「国民の幸福度」で日本でも話題になりました。
ではデンマークという国は完璧でそこで暮らす人々は一番成熟した完全な人間なのでしょうか? 確かに長所が沢山ある素晴らしい国ですが、結局それも特定の角度から見たものに過ぎません。
以下に関連する記事の引用・紹介をします。
「完璧な暮らしを求めるデンマーク人。高福祉と自由を手にしてもなお足りないものとは?」 より引用抜粋
自由とともに教育を始めとした「高福祉」を享受しているデンマーク人ですが、デンマークのオーフス大学による研究によると、今後3人に1人の割合で、うつ病など何らかの精神疾患の治療を受けるだろうと言われています。
また、他人と比べて自分が”劣っている”と感じたり、生きるための選択肢がありすぎてどうしていいのかわからなくなっている若者も少なくなありません。
(中略)僕も実際うつ気味になってフォルケホイスコーレに来ているデンマーク人の若者に何名か会ったことがあります。
彼らから「自分は周りのみんなと違って”完璧”ではないし、何をしたらいいのかがわからない」という話を聞いた時は少し驚きましたが、同時に納得出来る部分もありました。
平等な社会ではスタートラインが同じように見えるため、ついつい他人と自分を比べてしまいがちです。また、自由であることは必ずしも幸せに必要な条件だとは限らないことを改めて感じました。
完璧ではない自分を受け入れながら諦めない
時に「自分以外の誰かや何か」のせいにしなければやり過ごせないことは、生きていれば誰もが必ず経験すると思います。もちろん根本的な原因に向き合わなければ問題は解決はしないのですが、
みんながみんないつでも問題と正面から向き合えるほど強くはありません。また、人は誰しも完璧ではありません。足りない部分をお互いに補い、支え合うことは生きていく上で必要不可欠です。
自分が完璧ではないことを知り、認めることが出来れば、相手が完璧でないことも許すことが出来るはず。
完璧ではないことを受け入れるというのは、諦めるということではなく「そこからどうやって進んでいくか」を客観的に考えられるようになるということだと思います。
– 引用ここまで- (続きは下記リンクより)
上に紹介の記事にもありように、「完璧」を求め過ぎる在り方の硬直性、そしてその均一化された状態からはみ出したマイノリティの葛藤があり、また社会的に徐々に大きくなっていく格差の問題、などもあります。
生き物としてのヒトは静的・固定的なものではなく、動的であり「ゆらぎ」があることが自然です。また成長も均一ではなく未熟な人もいれば成熟した人もいるように、そして社会にも「ゆらぎ」があります。
あまりに観念的に潔癖に硬直した理想社会を形成すると、その社会はゆらぎが少なく静的には安定的には見えますが、大きな変動によってバランス状態が崩れた時、一気に極端に向かいやすい傾向になりやすい、ともいえるんですね。
また、均一化し過ぎた理想の「要求される基準」に達しなかった一部の人々は、逆に過剰に疎外される傾向に向かいます。
そして「移民問題」も徐々に深刻化していくでしょう。ゆえに理想通りにはいかない現実的な問題の発生や変化、こういう個や社会の「ゆらぎ」に対して柔軟に変化と共に動的にバランスしていけるかどうか、ですね。
仮に、様々な変化や問題をひとつひとつ調和的にクリアーしつつ更新していける現実的な柔軟さを持ち、同時に理想の在り方とのバランスも崩れないのであれば、それは非常に調和した成熟社会、といえるでしょう。
そして以前話題になったブータンも同様に決して完全ではなく、現在は大きな変化の途上にあります。
追加更新記事 ⇒ 「日本人の在るべき姿」という幻影
良い子の国 ニッポンの「国民の幸福度」は「90位」
「早く安く正確で親切」なサービスで「お客様好感度」抜群の日本人の自殺率 世界「5位」
※日本の自殺者数は「変死者数」を全く含まない数。変死者数の何割かが自殺者である場合、実質は世界一位の可能性もあり。
2016年1月追加更新
残念ながら「若者の自殺者」の増加傾向は現在悪化の一途をたどっています。⇒ 絶望の国 日本は世界一「若者自殺者」を量産している
追加更新ここまで。
◇ 良い子の国 ニッポンの長所
よく行き届いた教育と同調圧力によって平均的には賢く行儀のよい良い子となり、周りを気にして空気を読む力は高いから治安は良い。当たり前ですねコレ。
そして真面目に自己犠牲的に働いた見返りにGDPは未だに高い国ではあるが、「作りあげられた良い子達」は、「社会からはぐれた弱者」たちに対してはとても無関心で「冷えた個人」だった。
良い子達は「社会にとって都合の良い道具的存在」なのであり、「他者」にたいして温かい人ではななかった。
ゆえに評価や人間関係や心身が少しでも壊れ始めたら、もう味方のいない下り坂の孤独なジェットコースター。
世界153カ国で寄付やボランティアをした人の割合を調査、順位付けした英国の(世界寄付指数)の結果では、1位は米国、2位はアイルランド、3位がオーストラリア、4位がニュージーランドと続き、英国が5位。 良い子の国 ニッポン 105位。
以下、「ダイヤモンドビジネス」より記事引用・抜粋
世界でダントツ最下位!日本企業の社員のやる気はなぜこんなに低いのか?
ケネクサの調査は「従業員エンゲージメント」についての調査で、28ヵ国の社員100名以上の企業・団体に所属する社員(フルタイ ムの従業員)を対象に行なわれた。
サンプル数は約3万3000名。ケネクサが定義する「従業員エンゲージメント」とは「組織の成功に貢献しようとするモチ ベーションの高さ、そして組織の目標を達成するための重要なタスク遂行のために自分で努力しようとする意 思の大きさ」ということで、
要するに「仕事に対す るやる気」である。
この「従業員エンゲージメント指数」、世界最高はインドで77%。以下、デンマーク67%、メキシコ63%と続く。他の主要国では、アメリカが 59%で5位。中国57%、ブラジル55%、ロシア48%など。
イギリス、ドイツ、フランスなどのヨーロッパ先進国も40%台後半で弱い。韓国は40%でブービー賞。日本が31%でダントツの最下位である。というわけで、日本の社員のやる気は世界最低という次第である。
〇 世界最下位!日本人の「仕事満足度」はなぜ低いのか
(2017年 2月追加更新)
海外お客様好感度ダントツの「良い子の国 ニッポン」 そこで働く日本の社員のやる気は、ダントツの最下位!
良い子の日本人へ言いたい事
私自身も日本人なのでよくわかりますが、よく思い感じることは、人や社会は簡単には変えられないけれど、「自分の生き方」は変えられるということです。
私たちが「仕方なく従う生き方」をしているから、私たちを使う側の人間の方が立場がどんどん強くなるのです。全ては相対的であり、彼等をそのようにしているのは、私たちがそんな彼等にただ惰性で従い続けているからです。
今の企業の在り方に納得できますか?あなたは自分の会社や組織だけがおかしいと感じているのかもしませんが、それはあなたの会社や組織にかぎった話ではありません、
日本全体的に「大きな組織の体質」は硬直化するか機能不全に傾いてきており、その影響で下部にある現場の人間も振り回されているんですね。
それに早く気づかないと、これからさらにどんどん意欲は低下し、そして少子化による労働人口の低下や高齢化による若者の負担増などによって社会は窒息していくでしょう。
それがまたさらなる不安となり、さらなる少子化社会、未婚化社会に繋がり、どんどん生きにくい国、生きていて幸福を感じられない国となり、それがまたさらなるうつ病や若者の自殺、海外移住者の増大等に繋がっていくでしょう。
海外に移住する日本人は既に100万人を遥かに超えていますし、年々増加しています。住む国を変えるって決して簡単なことではないはずですが、日本を出たいと思っている人も結構いるんですね。
以下、「リクナビNEXT」より引用抜粋
金子勝が吼える! リストラがこのまま終わるはずがない
査定のあいまいさがリストラを加速させる
日本のリストラの特徴は、パワーハラスメント、成果主義、あいまいな査定の3つです。パワーハラスメントとは、権力を使ったいじめ。日本はチーム行動が基本なので、おとなしい人、協調性のない人、上司に盾突く人が狙われます。
成果主義の導入がリストラの理由をつくります。無能な経営者が基準もなくクビを切って、人件費を削減して、利益が出たと喜べる制度です。
引用元 http://next.rikunabi.com/tech/docs/ct_s03600.jsp?p=000066
良い子で真面目に生きてきたのに、そして医学の進歩で寿命だけは延びたのに、老後はジリ貧で人間らしく生きるのも難しく、孤独死か家族バラバラのさびしい終わり方。
社畜と呼ばれても残業頑張ってキツイ職場で長年尽くしてきた会社をクビになれば残るものがない。ただ時間だけが過ぎていく。
そんな消耗品のような人生。失敗や選択ミス、判断ミスひとつで、あっという間に谷底へ落ち、そして身内以外は誰も助けてはくれない。助けてくれる身内も誰もいなければ、人が沢山いるだけの虚無の荒野を生きるだけ。
良い子たち表は優しく行儀も良い、しかし裏では「使えない老いぼれ」「社会からはぐれた弱者」を冷ややかに嘲笑するその姿にあなたはゾッとするだろう。
きっと日本の影を知った人は、多かれ少なかれこういう「真実の一面」を体験することになるのでしょうね。
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