疑似科学・迷信・オカルト的思い込みの心理学 「脳の騙されやすさ」 

 

禅・瞑想の精神・肉体への効果・影響の第3弾は、「疑似科学・迷信・オカルト的思い込み」がテーマです。このテーマは前篇と後編に分かれています。 前篇では否定的な角度から、後編では肯定的な角度から検証してみましょう。

 

よく神秘体験を脳科学的に否定すると、こういう反論がスピ系や新興宗教系の人からかえってきます。「それを言うなら現実だって脳が作った幻影だ」 というものです。

もう少し詳しく言うと、「神秘体験が側頭葉のひとつの作用だしても、見えているものが幻影ということの根拠にはならない。

視覚的な現実だって脳・神経作用のひとつに過ぎないのだから、脳科学を基準にするなら、脳の作用の一方が幻影で同じく脳の作用のもう一方だけは現実だというのは科学的にも公正なことではない。」 という意味にもなります。

幻覚のメカニズムは以下のリンクで詳細を書いていますので参考にしてください。

⇒  幽体離脱・憑依・自動書記・幻覚を脳科学と心理学で検証

 

話を元に戻しますが、「現実だって幻覚と何が違う?」という意見、これは確かにそのようにも思えますよね。ですが大きな見落としがあります。

まず「外部に見えている対象」の知覚というものは、それが海であれ空であれ明確に生物学的に普遍的な物理的事実として確認できるものであり、

世界中の誰でも、あるいは犬や猫でも知覚出来る対象なんだということと、「幻覚を見ている人」にだって海、空は知覚出来ているということです。

これは、「海や空ってあるだろう?」ってそう思い込まされたから「段々と海や空が見えるようになってきた」とかではなく、信じている信じていないに関わらず、視力があれば誰でも見える「ただそれだけのありのままの事実」なんですね。

これに対して「迷信的なもの」「宗教的・オカルト的な思い込み」は、まず先にそう思い込まなくては、あるいはそう信じなければ、それはどこにも存在しないのです。 客観的には誰にもわかりません。

「神」を信じているという人さえ、多くは見たことがないんですね、「神」なんて。

ですが迷信の力が強いと、確証バイアスがかかってしまい、たとえば「魔女狩り」やアフリカで起きている「アルビノ狩り」のような集団的な異常性に発展したり、

神秘思想体系が政治的観念の背後に存在していたヒトラーのように、根拠もない迷信が事実と同程度の確信的態度と言動に発展する危険が実際にあるわけです。

「こう思う、こう感じる、そうに違いない、そう信じる」というだけで、ある人が魔女や悪魔や陰謀の主役にされたり、アルビノに神秘的な意味や力があるという妄信のために、ただ色が白いだけの少女が沢山誘拐され殺されたりする悲劇が起こるのです。

色が白いことに神秘的な意味などありません。ただの色素異常ですが、今この2013年の現代においても続いている思い込みの現実なのです。 タンザニアで続くアルビノ狩り

以下に紹介の事件の記事はアルビノ狩りとは異なりますが、こんな事件がまだ起きているのです。(2017年/3  追加更新「悪魔払い」で女性が火に放たれ死亡、ニカラグア

そして先進国でも発展途上国でも、人の迷信深さを逆手に取った能ビジネスによる被害は後を絶ちません。

2018年になった今でもまだ以下のようなニュースが流れてきます。(2018/1 追加更新

AFPBB News  2018年1月5日 9:00 発信地:ラゴス/ナイジェリアより 引用・抜粋

信心深い人が多いナイジェリアでは、HIVであるというだけで汚名を着せられ、多くの患者たちは苦しい思いをしている。そのため、インターネット上の詐欺をはじめ、さまざまな「奇跡の療法をうたう治療師」の格好のターゲットにされているのだ。

引用元 ⇒ HIV感染治る「奇跡ビジネス」 ナイジェリアで横行

霊や神が見えるとかいうだけで、ただの人間が神のように祭られたり、絶対的な権限を与えられたりすることも未だにあるわけですね。

科学的というのは、単に内部構造の推論に止まるものではなく、こうすればこういう反応が生じるという明確な実験と検証が幾度も行われ、そうやって実証されていくものですが、

宗教的な妄信やオカルト信者に見られる姿勢というのは、結局は「天動説を信じるか信じないか?」それと同じレベルの姿勢です。

科学は天動説を信じるか信じないかとか、宗教を信じるか信じないかという「是か非か」というところから物事を見る姿勢なのではなく、

事実の構造を明確に追及し検証、実証して明らかにしていくだけなのです。 その結果、天動説が否定されただけです。

嫌いだから否定するわけでもなく、信じたくないから否定するのではなく、シンプルに、「それが確かに在る」といえるだけの根拠を見出せなかったから「(ないことの証明はできないが)在るとはいえない」という形で否定され、

「オカルト現象」を科学的に説明でき証明できるならば、その科学的解釈に関してはは「事実」として信頼に値する、というだけなのです。

それでラストに、マイケル・シャーマーによる「脳の騙されやすさ」をテーマにしたTEDの動画を紹介。

マイケル・シャーマー(Michael B. Shermer, 1954-): 大学では心理学を専攻。オクシデンタル大学で科学史の教授を務め、その後の1992年にスケプティックスを創始。

宇宙人による誘拐やダウジング棒などの奇妙な事柄が信じられてしまう 理由を、脳の最も基本的な2つの生存本能によって説明できると マイケル・シャーマーは述べます。その正体は何で、我々はいかに 騙されてしまうのでしょうか。

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