統合失調症 – 症状と診断基準

 

統合失調症の病型には、

妄想型     解体型     緊張型     鑑別不能型     残遺型という病型があります。統合失調症の症状を大きく分けると、「陽性症状」「陰性症状」とに分けられます。

 

 陽性症状

「今までは見られなかった異常なもの」が新たに出てくる症状です。

幻覚・幻聴・幻視などが起きる。 被害妄想・誇大妄想が強くなる。思考・洞察力の混乱、会話の混乱。激しいイライラ・興奮 衝動的行動など。

  陰性症状

 「今まではあった健全なもの」が失われてしまう症状です。

感情の鈍化 外からの刺激に無反応。 感情表現・喜怒哀楽が乏しくなる。意欲、気力、集中力、思考能力の低下。 言葉数の著しい減少。引きこもり、人と関わる事を拒絶。 食事、衛生面を気にしなくなるなど。

ここから追加更新です。「統合失調症と間違われやすい他の病気」に双極性障害離性障害境界性パーソナリティ障害などがありますが、発達障害もそのひとつです。以下、関連外部サイト記事からの引用です。

「発達障害と統合失調症」 より引用抜粋

発達障害と統合失調症は一見すると関係ないように思われています。ところが統合失調症の発病原因・背景として発達障害が密接に関係しています。しかし、精神科医でもそのことを知らない人も少なくありません。

 当方の医学部学生時代の精神科教科書にはクレッチマーの性格分類に分裂気質(非社交的、静か、生真面目、変人、控えめ等)の人が精神分裂病(統合失調症)を発病しやすいと書いてありました。これは現在でいう発達障害のことです。

 事実、統合失調症と発達障害の症状は驚くほど似ています。幻聴、被害妄想・念慮、対人関係の困難さ、コミュニケーション障害、こだわり、過敏と鈍感等共通しています。

それで歴史的にずっと誤診されていた可能性があります、単純型の統合失調症はその可能性が大きいです。症状の重症度に大きな差があります、もちろん統合失調症が重度です。
– 引用ここまで- (続きは下記リンクより)

引用元⇒ 発達障害と統合失調症

関連外部サイト記事
統合失調症の原因・検査・診断-発達障害との違いとは
発達障害を精神疾患だと誤診され、社会生活が不可能になる患者達

– 追加更新 – ここまで

 

統合失調症は統計的には男性は10歳代半ば~20歳代半ばに多く、女性は20歳代半ば~30歳代半ばくらい多く発症し、(女性の方が男性より発症が遅く、また女性の場合は閉経期にも発症が増えることから女性ホルモンとの関連性も考えられている。)

40代以降の発症はとても少なく、基本的に若い人の病気ですね。統合失調症の発症率は約1%ほどで100人に1人くらい、と言われています。

統合失調症の発症の段階は前駆期、活動期、残遺期という風に分けられています。

前駆期というのは何となくそれらしき不調が出始めた最初の兆候の期間で、この段階ではまだ統合失調症と断定は出来ません。

そして活動期になると、統合失調症に特徴的な症状がハッキリと出てきます。活動期では陽性症状がメインの症状になります。主に活動期の陽性症状としては、シュナイダーの一級症状で表されるような特徴的な症状があります。

シュナイダーの一級症状で統合失調症を完全に診断できるかどうかは疑わしく例えば解離性同一性障害(多重人格)は原因も治療法も統合失調症とは全然違う精神障害であるが、シュナイダーの一級症状と同じ症状が起る場合があるので、安易に決めつけるのはよろしくないが、「精神障害目安」にはなる。

 シュナイダーの一級症状

①思考化声 (自分の思考が幻聴として聞えてくる)
②複数人の対話幻聴 (複数の人の会話の声が聞えてくる)
③自分への批判幻聴 (自分の行為を逐一非難する声が聞えてくる)
④身体被影響体験 (自分の身に何らかの影響を与えられていると思い込む妄想)
⑤思考奪取 (心の中の考えが抜き取られるような気がする)
⑥考想伝播 (自分の心の中の考えは、周りの人に筒抜けになっていると感じる)
⑦妄想知覚 (無関係な事柄を関連付けたり意味づけたりする)
⑧させられ体験 (自分が他者に心・意志・行動を操られていると感じる)

 

そして統合失調症の残遺期になると陽性症状は弱まっていき、今度は陰性症状がメインの症状になります。

厚生労働省の『みんなのメンタルヘルス総合サイト』より、「統合失調症」のージのリンクを以下に貼っています。

 ⇒ 厚生労働省 統合失調症

 

ここから追加更新ですが、「DSM-IV」➡ 「DSM-5」に変わったので、専門サイト「MSDマニュアル」から統合失調症とDSM-5に関連する記事を引用紹介します。

 

MSDマニュアル「統合失調症」より

DSM-5に従うと,統合失調症の診断を下すには以下の条件を両方とも満たす必要がある:

2つ以上の特徴的症状(妄想,幻覚,まとまりのない発語,まとまりのない行動,陰性症状)が6カ月間のうちかなりの割合で存在すること(最初の3つの症状のうち,少なくとも1つが含まれていなければならない)
社会的,職業的,もしくはセルフケアの障害を伴った前駆期または残遺期の徴候が,6カ月間にわたって明らかに存在し,そのうち1カ月間は活動期の症状が含まれている鑑別診断

臨床検査と神経画像検査を含めた病歴聴取と検査により, 他の医学的障害による精神病と 物質使用障害による精神病を除外することが必要である(精神症状がみられる患者の医学的評価)。一部の統合失調症患者では,画像検査で脳の器質的異常が認められるが,それらの異常は診断的な価値を有するほど十分に特異的な所見ではない。

同様の症状を示す他の精神障害として,統合失調症と関連のあるものがいくつかある

・短期精神病性障害・妄想性障害・統合失調感情障害・統合失調症様障害・統合失調型パーソナリティ障害 さらに,一部の人々では 気分障害が精神病を引き起こす可能性がある。

引用元 ➡ 統合失調症

 

 DSM-IV 統合失調症の診断基準

 

「アメリカ精神医学会」で定義している精神疾患の分類と診断のマニュアルと基準「DSM」で現在最新のものが「DSM-IV」です。( この情報は古いものです。現時点ではDSM-5が最新です)

 DSM-IV 統合失調症の診断基準

特徴的な症状:以下の①~⑤うち2つ(またはそれ以上)が、それぞれ1ヶ月間(治療成功の場合はより短い)ほとんどいつも存在する。

1  妄想
2  幻覚
3  支離滅裂な会話
4  支離滅裂または緊張病性の行動
5  感情希薄、思考力・意欲の極端な低下

●「明らかに異常な妄想」がある場合、

●「本人の思考や行動をいちいち説明する幻聴」がある場合、

●または「2つ以上の声が会話をしている幻聴」がある場合は、

①~⑤うちの症状の1つを満たすだけで条件を満たすとする。

 

社会的活動または仕事力の低下:

症状が起こり始めた後、その期間内の大部分で以下①~③のひとつ以上の低下が認められる。

①仕事能力 ②対人関係能力 ③自己管理能力(※症状が起こり始める以前は出来ていたことが殆ど出来なくなる ※小児期・青年期の発症の場合においては、通常は出来ると予測される対人能力、学業能力、職業能力が水準にまで達しない)

 期間: 精神障害の継続的な徴候が少なくとも6ヶ月間認められる。この6ヶ月の期間中に、上記の基準①~⑤を満たす症状が少ない場合でも1ヶ月認められる。

※前駆期、あるいは残遺期の症状のある期間を含めてもよい。前駆期、あるいは残遺期の期間では、 陰性症状のみか、もしくは上記の基準①~⑤の症状の中のの2つまたはそれ以上がより穏やかな症状(奇異な信念、異常な知覚など)で表されることがある。

 

専門家達による統合失調症をテーマにした動画を幾つか紹介しています。参考にどうぞ。

精神科医療の基本14 統合失調症

 

「謎の統合失調症を解く」 丹羽真一教授 最終講義

 

精神科医の松崎朝樹 氏の動画も追加で紹介(以下リンク先にてご覧ください) ⇒  統合失調症 3[治療]心理教育

 

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