脳科学的に見た無意識の機能とは  脳神経のメカニズム

 

以前書いた記事で、

『 理性・個人的な感情・意識の多くは、大脳新皮質と密接にリンクしています。一方、無意識・生物学的な本能や衝動は、大脳新皮質だけでなく、脊髄、脳幹、大脳基底核、大脳辺縁系、小脳などの脳部位や、身体全体と密接にリンクしています。』

と書きましたが、今日はその部分をもう少し詳細に書いてみます。

無意識の転写」という表現は感覚的な表現ではりますが、オカルト的な意味合いではなく、脳神経的な物理的・生理的な過程によって起こる現象を表現したものなんですが、

今週の記事テーマはそのことを突き詰めた内容なので、まず無意識と関連している脳の仕組みと機能を先に理解していたほうが、今週書く予定の記事の意味を理解するのがスムーズになるでしょう。

精神と呼ばれるものは「大脳新皮質」がメインの機能であり、大脳新皮質だけでなく他の脳や体の総合的な働きによるものだと、前に書きました。

特に高次の精神機能を営む大脳皮質の領域である「大脳皮質連合野」に関しての参考ページとして以下のリンクを紹介しておきますね。参考 ⇒ 大脳皮質連合野の話

「心・精神の病と健康」を見ていくならば、「脳と体」の全てを見ることになるんですね。そして幸福や不幸というものも心・精神、脳と体を抜きには成立しないのですから、これもやはり密接に関わり合うものなのです。

このブログは、心・精神の病気と健康、幸福や不幸を科学的に、そして感性的に、双方のアプローチで探求しています。

たびたび科学的な見解や専門用語なども出てきますし、それらの専門用語をシンプルに説明することはあっても、ひとつひとつを細かく説明することはあまりしません。

専門知識に偏りすぎると、かたい感じの学問的なブログになり、かえって一般の方は読みづらくなるため、そういうものはそれぞれの専門に任せて、ここではもっと自由に書いていきます。

専門的な知識の詳細などに関しては、記事内で部分的な引用文の紹介をしたり、専門サイトやテーマに関連する外部サイト記事へのリンクなどを沢山紹介していますので、それらを参考にしてくださいね。

「感情記憶の組み合わせが性格」 より引用抜粋

私たちは、子供時代に体験的に感情を学習していく。しかし、大人なると体験的学習は難しくなり、理論が必要となる。感情は、無意識の記憶である。

無意識の記憶というのは、運動の練習のようなもので、実際に行動して試行錯誤することにより発達するものである。

ところが大人になり記憶力が発達すると、感情を含む出来事はそのままエピソードとして記憶されるようになり、感情の発達は弱くなっていく。

それは言語学習に似ている。子供なら自然に体得できるが、大人で理論的に学ぶ必要があるのだ。大人が性格に悩んだ場合には、感情を理論的に学ぶことによってこそ、子供時代からの感情の歪みを補正することができるだろう。

– 引用ここまで- (続きは下記リンクより)

引用元⇒ http://www004.upp.so-net.ne.jp/kaysaka/draft/1e-kanjo.htm

 

脊髄・脳幹・大脳基底核・大脳辺縁系・小脳

◆脊髄

脊髄は、脳とともに中枢神経系を構成する神経組織の一部です。脊髄は、頭蓋骨の中にある脳幹から出て、背骨の中を通って下部に伸びています。脊髄は、脳と体の間で神経信号を伝える役割を果たすだけでなく、簡単な反射運動や自律神経活動を制御する役割も持っています。

中枢神経系以外の神経として末梢神経系があります。末梢神経系には、脳から出る12対の脳神経と、脊髄から出る31対の脊髄神経があります。脳神経は主に頭部や首部の感覚や運動を担当し、脊髄神経はそれ以外の部位の感覚や運動を担当します。

また、末梢神経系には自律神経系も含まれます。自律神経系は、内臓や血管などの内部器官の働きを調節する神経です。自律神経系には、交感神経と副交感神経の2つの系があります。交感神経は興奮や緊張時に活性化し、副交感神経は安静時に活性化します。

他にも灰白質と白質という専門用語がありますが、これらは中枢神経系の構造を表す言葉です。灰白質は主に神経細胞の細胞体からなる部分で、灰色に見えることからこの名前がつきました。

白質は主に神経細胞の突起である軸索からなる部分で、軸索に巻き付いているミエリンという物質が白色に見えることからこの名前がつきました。ミエリンは電気信号を伝える速度を上げる役割を持っています。また、末梢神経系の中で、複数の神経細胞の細胞体が集まってできた小さな塊を神経節と呼びます。

◆脳幹

脳は大きく見て、高次機能を司る大脳、運動機能を司る小脳、生命維持機能を司る脳幹で構成されています。そして脳幹は、延髄・橋・中脳からなり、中枢神経系の一部として、脳と脊髄をつなぐ役割を果たしています。

脳幹は、呼吸や循環などの自律神経活動や、反射運動や姿勢制御などの運動制御を担当しています。脳幹の上には間脳があります。間脳は大脳と下位中枢との間で神経信号を中継する器官であり、情報の交差点とも言えます。

間脳は視床と視床下部からなりますが、視床下部は間脳の一部ではなく、下垂体とともに内分泌系の中枢でもあります。視床下部は本能的な活動や感情を制御しており、食欲や睡眠、体温などの自律機能の調節も行っています。

◆大脳基底核

大脳基底核は、大脳の深部にある神経核の集まりであり、大脳皮質と視床、脳幹と密接につながっています。大脳基底核は、大脳皮質からの神経信号を受け取り、視床を介して再び大脳皮質に送り返す「大脳皮質-基底核ループ」という情報伝達の回路を形成しています。この回路は、大脳皮質の機能を調節する役割を果たしています。

大脳基底核は、主に運動機能に関与しています。特に、不随意運動や筋緊張などの運動障害を抑制することで、滑らかで正確な運動を可能にしています。また、大脳基底核は、認知機能や感情、動機づけや学習などにも影響を与えています。例えば、報酬や罰などの刺激に対する反応や期待を調整したり、注意や計画などの高次認知プロセスを制御したりすることがあります。

◆大脳辺縁系

大脳辺縁系は、大脳の内側にある神経組織の集まりであり、情動や意欲、記憶や自律神経活動に深く関わっています。大脳辺縁系の範囲には、扁桃体、中隔核、視床下部、視床前核、海馬などが含まれますが、これらは一様な構造ではなく、それぞれ異なる機能を持っています。

例えば、扁桃体は恐怖や危険などの感情を処理することで、ストレス反応や学習・記憶に影響を与えます。扁桃体の構成と機能

海馬は空間的な記憶や新しい記憶の形成に重要な役割を果たします。大脳辺縁系は心・精神の問題とも関係が深く、うつ病や統合失調症などの障害では、大脳辺縁系の異常が見られることがあります。

小脳

小脳は、脳の後ろ下部にある神経組織であり、脳の神経細胞の約8割を占めています。小脳は、身体の平衡・筋緊張・随意筋運動など、主な機能は感覚と運動機能の調節と統合です。

例えば私達が自転車に乗る時、考えなくても乗れるのは、小脳の機能です。自転車に初めて乗れるようになった時にその運動に必要なパターンが記憶され、後は自動化される機能です。

固有覚の情報は、大脳皮質だけでなく小脳へも伝えられます。(固有覚: 「深部感覚」ともいい、それは位置覚、運動覚、抵抗覚、重量覚という4つの感覚により、体の各部分の位置、運動の状態、体に加わる抵抗、重量を感知する感覚の総称のこと。)

第二腰髄以下の固有覚情報は、感覚受容器(ゴルジ腱器官や筋紡錘)から腹側脊髄小脳路 または前脊髄小脳路と呼ばれる経路を通って脊髄に入りますが、そこから小脳へ伝わるためにはもう一つの経路である後索小脳路を経由する必要があります。

2015/07/08 追加更新

↑ の小脳に関する説明は一般的な小脳の基本機能でしたが、小脳は他にも機能があることがわかってきています。以下の追加記事でそのことも含め、他の角度から脳の働きについて考察しています。

知能・能力・創造性の脳科学的考察  「知・情・意」「守・破・離」と小脳の役割

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