機能不全社会での「パーソナリティ障害」を生む自我意識の形成とそのタイプ

 

前回の記事が長く文字量が多すぎたので、二つに分けました。この記事前回記事の半部です。 前半部の記事 ⇒ パレートの法則と「機能不全社会」の「神経症的」パーソナリティ 

 

自己実現の多様性が少なく、「存在の様々な可能性・能力が生かされない現代の機能不全化 した競争社会」においては、その「不調和な社会」に条件付けられた「合的な意」の影響を受けて個の社会的自我の形成がされていく。

そしてそれぞれの個別の先天的気質・パーソナリティと組み合わさって、例えば「ーソナティ障害」「毒親」「アダルトチルドレン」「心・精神の」などの原因にもなったり、ひとつの大きな社会的力学になっている、ということです。

 

もちろん全ての人が画一的にそうなるというわけではなく、社会の集合意識は様々な質・種類があり、複合的に相互作用しているので、これはあくまでも機能不全社会に見られる「特徴的な集合意識の作用のひとつ」という意味です。

そして社会の機能不全化が進むほど、この作用は強く広範囲に及び、そしてそれが個の生物学的な機能異常や先天的気質と合わさり、「心理的な化学反応」を起こし、パーソティ悪性の変異にさせる場合もあれば、

「個のそれぞれの身近な環境・経験の負の力学」などと結びついて、より濃厚な「社会的な負の現象」として集合的に顕現化してくる場合もあるということですね。

 

では、その力学によってどのような自我タイプが形成される傾向になるかを、大きくAB のタイプ分けてみました。 これは、「自我の形成」が自己愛と不調和(自他分離の強化と敵対)が優位の場合」 を基準にしており、

それに受動・能動・同調の三つの性質の違いと、内発的・外発的モチーショの違い、そして「マズローの欲求段階説」を加えて考察しています。

 

よく知られた「マズローの欲求段階説」、通常の5段階のモデルで、1.生理的欲求 2.安全の欲求 3.所属と愛の欲求 4.承認(尊重)の欲求5.自己実現欲求   というものです。

自我タイプマズローの欲求段階にウエイトが高い分離的な己実現の達成(過充足)であり、「 2」 タイプは3・4にウエイトが高い自己実現未充足であり、「-1」タイプは、求段階3~5まで未充足状態、という大まかな区分けです。

さらにAタイプに自己肥大」が生じた場合の自我の傾向と、アメリカの精H.S.サンの10種類のパーソナリティ障害Aタイプく見られナリティ障害の傾向として振り分けてみました。

※ これはあくまでも限定的な分析で、特定の角度からの大まかな区分けですので、しからず。

 

◇ 画一化した競争社会での「自己愛的成功者の自我運動の2つのパタン 「Aタイプの成功者」は能動性が優位で「内発的モチベーション」向。

 

A① 低いレベルの承認欲求の達成とそれに執着するパターン

「多様性の少ない競争社会」 ⇒ 「他者の敵化」 ⇒ 「個の攻撃性・闘争原理の強化」 ⇒  「発的モチベーションの強化」 ⇒「分離的自己実現の成功」 ⇒ 「自己愛的欲求充足」⇒ 「 自己効力感」⇒「定的・分離的な自己肥大」⇒ 「社会評価の拡大」 ⇒ 「低いレベル の承認欲求(地位・渇望・名声・利権)の達成と執着」

 

A② 高いレベルの承認欲求へと向かうパターン

低いレベルの承認欲求から高いレベルの承認欲求(自己尊重感、技術や能力の習得、自頼感、自立性)へと向かい、この場合は他人からの評価よりも自分自身の評価を重視。

Aタイプ(主にA-①)+「自己肥大

Bタイプ」への侮蔑ラベリングと排斥・攻撃・不寛容さが強化され、感・傲慢で無意識的に「臭いものにはフタ」をし、都合の悪いもの・目障りで邪魔なものを立場の力で抑え込む。B-2タイを支配コントロールする傾向。

Aタイプ」に多いパーソナリティ障害

「吃音者症候群」H.S.サリヴァンの「10種類のパーソナリティ障害」より

【 説明 】 (カウンセリングルーム:Es Discoveryより引用・抜粋)

言語的コミュ ケーションを『意志伝達・相互理解・共感』といった一般的な目的のために用いず、『他者 のコントロール・侮辱・威圧』のために用いることが多い性格傾向である。
(中略)
俗に言う『攻撃的傾向を強く持つ論争好き・論破好き』が吃音者症候群に近い。

「野心一本槍型」 

自分の野心や欲望を満たすために、冷淡かつ機械的に他者を都合よく利用することができ 性格傾向であり、自己中心的で共感能力が欠如しているという特徴を持つ。

『他者』を自分 と同じ人格や権利、感情を持つ一人の人間として認識することができず、野心一本槍型の人 にとっての他者の価値は『自分にとっての利用価値があるか無いか』という一点に絞られる。
(中略)
DSM‐Ⅳ でクラスターBに分類されている『自己愛性人格障害・反社会性人格障害』と部分的な共通点を持つ。

【 説明 】引用・抜粋元 ➡ H.S.サリヴァンの対人関係論的なパーソナリティ理論とカレン・ホーナイの神経症的葛藤に基づく性格分類

 

画一化した競争社会での「自己愛的失敗者」の自我運動の2つのパターン 「B-1タイプの失敗者」は受動性優位と能動性優位があり「外発モチベーション」が位な傾向。

 

-1  受動性が優位の場合

「多様性の少ない競争社会」 ⇒ 「他者の敵化」 ⇒ 「個の攻撃性・闘争原理の強化」 ⇒ 「発的モチベーションの強化」 ⇒ 「分離的自己実現の」 ⇒ 「自己愛的欲求不満」⇒「自己無力感」 ⇒ 「退行」 ⇒「孤独・追放・拒否・無縁状態」 ⇒ 「自殺・心を病む」

-1  能動性が優位場合

自己無力感」の段階で強いコンプレックスを味わい、その反動で強いを能動的に求める方向性へ向かう 。 ここで「発的モチベーションの強化」 ⇒「分離的自己実現の成功」 ⇒ 「自己愛的求充」へと向かうことが出来れば「Aタイプ」になる可能性はあるが、

リベンジに失敗した場合、コンプレックスはさらに強化され否定的な方向性へ自己を肥大化させる。

◇ リベンジに失敗 ⇒「コンプレックスの強化」 ⇒ 「社会欲求愛の増大」⇒「 な自己肥大」 ⇒ 「社会評価の低下」 ⇒ 「存在価値・存在意義の低下」⇒ 「社会への否定的 感情」⇒「Aタイプへの嫉妬・憎しみ・逆恨み意識と被害者意識を強化」

Bタイプ(主にB-1能動性優位)+「自己肥大

主に下位2割に属するコンプレックスから、同じB-1タイプへの仲間意識及び族嫌悪も強い。

そして「上位2割」の生みだした「負の圧力・作用」は、現実では主に「中間6割層」 からダイレクトに受けるため、 上位ではなく中間6割(一般庶民)への怒りと憎しみの直接的な攻撃が向かいやすく、そのため社会全体を敵に回す形となりやすい。

B-1タイプ」に多いパーソナリティ障害

「あまのじゃく症候群」 H.S.サリヴァンの「10種類のパーソナリティ障害」より

【 説明 】(カウンセリングルーム:Es Discoveryより引用・抜粋)

あまのじゃく症候群……他人の意見や集団の決定、社会の常識・ルールにしてどんなこと も『反対・否定・揚げ足取り』の意志表示をする性格向で、天の邪鬼として批判的な態度 を続けることで周囲の注意・関心をめようとしている。
(中略)
DSM‐ⅣでクラスターBに分類されている『演技性人格障害』 と部分的な通点を持つ。

「自己耽溺者」

自己耽溺者……幼児的な全能感や魔術的な思考が去勢(脱却)されておらず、でも自分 い通りになるという空想的な有能感や無根拠な自信にうっとりと耽溺できる性格傾である。

極度のナルシストであり夢想的な自信家であるため、自己の欲求を充足すために必ずしも 他者との対人関係を必要としないが、 実際に他者関わる時には自己中心的で尊大な態度を示すことが多く、通常の対人関係を安定的に 維持することは困難である。

DSM‐ⅣでクラスターBに分類されている『自己愛性人格 障害』や『境界性人格障害』と分的な共通点を持つ。

【 説明 】引用・抜粋元 ➡ H.S.サリヴァンの対人関係論的なパーソナリティ理論とカレン・ホーナイの神経症的葛藤に基づく性格分類

 

画一化した競争社会での「自己愛的な一般人」の自我運動のパターン 「Bタイプの一般 弱者」は同調性が優位で「外発的モチベーション」が位の傾向あり。

「多様性の少ない競争社会」 ⇒ 「他者の敵化」 ⇒ 「個の攻撃性・闘争原理の強化」 ⇒ 「発的モチベーションの強化」 ⇒ 「分離的自己実現の失敗」 ⇒ 「自己愛的欲求不満」⇒ 「自己無力感」 ⇒ 「 自己縮小」 ⇒ 「Aタイプへの従属意識の強化(強いもの・長いものに巻かれる)」

B-2タイプ+「自己肥大

Aタイプ同様に、Bタイプへの侮蔑ラベリングと社会的排斥・攻撃・不寛容さの態度を強化することでコンプレックスを解消し、抑圧化され卑小化した結果の「自己無力感」を補う傾向。

主に中間に属するが、「中間割内においての2-6-2の法則」の上位を格付け合い競い合う傾向。

 

B-2タイプに多いパーソナリティ障害

「救いがたい連中」 H.S.サリヴァンの「10種類のパーソナリティ障害」より

【 説明 】(カウンセリングルーム:Es Discoveryより引用)

強い者には従属的であり、弱い者には攻撃的という卑屈な性格傾向で、『自分の劣等コンレックス(精神的な屈辱感・敗北感)』を憂さ晴らしするために自分より弱い者の粗探しやバッシングに終始ている。
(中略)
DSM‐ⅣでクラスターBに分類されている『反社会性人格障害』と部分的な共通点を持つ。

「関わりあいのない人」

他者と人間関係を持ちたいという欲求が乏しく、他者とのコミュニケーションによって得れる満足感も少ない性格傾向で、
(中略)
現実社会や対人関係と切断された自分の内的世界の充実 やプライベートな目標の探求など価値を見出す。DSM‐ⅣでクラスターAに分類されてい 『統合失調質人格障害(分裂病質人格障害)』と部分的な共通点を持つ。

【 説明 】引用・抜粋元  ➡ H.S.サリヴァンの対人関係論的なパーソナリティ理論とカレン・ホーナイの神経症的葛藤に基づく性格分類

 

自己肯定感と調和をベースに発展した自我形成

では、逆に、「自己実現の多様性の少ない現代の機能不全社会」において機能不全化せずに、「自己肯定感と調和」をベースに「自我形成が健全に発展した場合」はどうでしょうか? これをCタイプとして見てみましょう。

H.S.サリヴァンは「満足」と「安全保障感」が人の自我発達において不可欠と考察し、外界との干渉・接触で生じる内的な状態変化、他者との交流の基本となる体験様式を、3つに区分(プロトタクシス、パラタクシス、ンタクシスし、それは順に成長していく発達過程として定義しました。

個の先天的(遺伝的・生物学的)な機能異常などから生じるものが優位な場合は、H.S.サリァンのアプローチでは不十分なケースも含まれているでしょうが、

多くの場合、「幼児・児童期・青年期」における親・周囲・社会の否定的な心理的力学は、 自我の発達段階に大きな影響を与えると考え、

親・周囲の適切で思慮のある働きかけと「負の作用をブロックする保護・監視」が必要とし、その中において「個々の適性に合う教育」が与えられ、発的モチベーションを高めることが「個の自我の調和的発達」に必要ということですね。

そうすることで「マズローの欲求段階説」でいうところの「自己実現」ベースが出来るです。

ただ、私の考える「自己実現」の意味はマズローの定義と同じ意味か?とうではなく、 また「自己統合」に関してもユングのいう自己統合との定義とすべて同じ意味ではありません。

「自己実現」に関しては以下の記事を参考にどうぞ。

ネガティブ・ポジティブな思い込みを超えて近代社会での「自己実現」の新しい形

 

C-1タイプ(自己統合+自己拡大)

画一化した競争社会での自己肯定感による「社会的自己実現者」の自我運動のパターン

「多様性の少ない競争社会」 ⇒ 「健全な親・教育環境」⇒「自他の違いの理解」⇒「個々の適性に合う教育」 ⇒ 「個の自立性+モチベーションの増大」 ⇒ 「内外の調和的自己実現の成功」 ⇒ 「自己肯定感・効力感の増大」
⇒ 「肯定的自己拡大」 ⇒ 「社会評価の内外の調和と安定」 ⇒「社会的存在意義の強化」 ⇒ 「社会への調和的肯定的感情」 ⇒ 「社会貢献」

 

C-2タイプ(自己統合のみ)

画一化した競争社会での自己肯定感による「個人的自己実現者」の自我運動のパターン

「多様性の少ない競争社会」 ⇒ 「健全な親・教育環境」⇒「自他の違いの理解」⇒「 個の自立性」 ⇒ 「内的な調和的自己実現の成功・(外的な方向への拡大はせず)」⇒ 「自己肯定感」 ⇒「 社会評価に対する内的な調和と安定(外的評価は不安定の場合もある)」⇒ 「成功・失敗意識への囚われからの解放(存在意義の内的安定)」⇒ 「社会への穏やかな調 和的肯定的感情」⇒ 「社会への穏やかな貢献と協力的姿勢」

社会が「AタイプとBタイプの組み合わせ」が優位な現状から、時間をかけて「Cタイプ」メイ ンへと移行することで徐々に「機能不全の分離的自己愛の実現社会」から「調和型の 自己統合・自己実現社」に変わっていくでしょう。

ですが社会は複合的な様々な力学によって相互依存・相互作用しつつ運動している巨大なものなので、そんな簡単なものではありません。

なのでこの記事・ブログのメインテーマは「今の社会の状態」を理解しつつも「その中」で、 「負の作用に飲み込まれずにどうやって心身を安定し調和的な自己実現を目指すか?」という方向性であり、その方が遥かに現実的でしょう。

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