パレートの法則と「機能不全社会」の「神経症的」パーソナリティ 

 

今日はパレートの法則と「機能不全社会」の「神経症的」パーソナリティをテーマに、社会学と心理学と精神分析による記事を書きました。

 

パレートの法則(80:20の法則)は「経験則的なもの」であり、パレートの法則から派生したものが「2-6-2の法則」です。

◇ パレートの法則(80:20の法則)の実例

○ 蟻の群れのうち、真面目に働いているのが80%、働かないのが20%。
○ 文章で使われる単語の8割は、全単語数の2割に当たる頻出単語である○ 都市の交通量の8割は、都市全体の道路の2割に集中している。

○ ソフトウェア利用者のうち80%は、全機能のうち20%しか使わない。
○ 物事の本質の8割は、2割を見ればわかる。
○ 所得税の8割は、課税対象者の2割が担っている。

○ 故障の8割は、全部品のうち2割に原因がある。
○ 離婚件数の80%を離婚経験者20%が占めている。
○ 全所得の8割は、人口の2割の富裕層が持つ

○ 売上の80%を占めているのは、20%の製品、20%の顧客である
○ 仕事の成果の80%は、費やした時間の20%から生まれる
○ 試験問題の80%が、その学科に関する20%の知識で十分に答えられる。

 

パレートの法則を、「生き物・人間の集団に見られる現象」に応用したものが「2-6-2の法則」です。

2-6-2の法則」は上位2割その他の8割中間6割・下位2割に分け、上位2割は、「実績・生産性が高い優秀な積極的グループ」であり、中間は、「可もなく不可もない平均的グループ」、そして下位2割は、「実績・生産性が低い劣勢な消極的グループ」と定義されるものですが、

自然界での生物学的な「2-6-2の法則」は、全体の自然バランスのための無意識的ゆらぎですが、人間社会での「2-6-2の法則」には、「心理的葛藤」「人為的に操作された構造」が含まれます。

 

概念は異なりますが、これは精神分析家ビオンの「作動グループ」と「基底的想定グループ(依存・ペアリング・闘争-逃走)にも通じるものがありますね。

作動グループと基底的想定グループ ~その理論と実践

 

「機能不全社会」の「神経症的葛藤」

「無意識的ゆらぎ」+「心理的葛藤」+「人為的に操作された構造」は、集団社会に常にあるわけですが、機能不全社会の場合、「心理的葛藤」が「神経症的葛藤」に向かう傾向になりやすいともいえます。

「神経症的葛藤」のタイプ・質によって、行動・反応が異なり、そしてそれが慢性化するとパーソナリティ化することがあるわけですが、これは「生き物としての人間の機能不全社会への適応」ともいえます。

社会的自我にとっては、「機能不全社会」が「外的な自然界」に置き換わっているのです。なのでそこでの適応を迫られ、それに過剰適応していくうちに、「大自然に盤を置く内的な自然界」と心・精神との調和が機能不全化していく傾向になりやすい、ということですね。

新フロイト派の精神科医であるカレン・ホーナイは、「神経症的葛藤」への自我防衛の対処として3つの行動パターンに分類し、それがパーソナリティ化したものを『自己主張型性格・追従型性格・遊離型性格(逃避型性格)』と定義しています。

【追加更新】で、外部サイトを紹介 ➡ カレン・ホーナイの生涯

 

機能不全社会の場合では、パレートの法則で言う主要・上位(20%)だけが重要で支配的になりやすく、残りはあまり重要ではないという、抑圧的な構造になりやすい。そしてその中でもさらに下位(20%)は存在価値・存在意義を奪われやすい。

弱肉強食型の機能不全社会では、「自我を強め、同時に分離を強める方向性」なので、「自己主張型性格」が上位2割に集中し「追従型性格」が中間、「遊離型性格」が下位2割に集中しやすくなる傾向。

だから上位は「自我が強く分離的・闘争的である人」が占めやすく、「善性の強い本当に根が優しく真面目な人」ほど下位に押し込まれ損な役回りを押し付けられ、心身を病んだりする傾向。(もちろんそうでない他の要素でそうなっている人も下位2割に含まれています)

そして、「自我が強く分離的・闘争的であっても知能・能力・人望が足りず現実社会上位に実力で上がれなかった人」も下位2割に存在しており、そういう者たちが「下位の中で上位」になり、「優しく真面目な人」を騙して搾取し暴力的に支配していたりします。(例:カルト系教祖)

こうやって、上位からも下位からも搾取・支配され、「影の役回り」の全ての負の心理と、上のストレス処理を押し付けられ、抜け出せなくなっていく構造がある。

しかしそれを「自己責任」で全て片づけられることで、格差の増大状態の固定化へと向かうわけですね。そうやって下位の「自我の強い一部の者」が、心身のバランスを崩して悪想念を強化して人格崩壊し凶行に及んだり、(もちろんそうでない他の要素でそうなっている人もいます)

そして、「人格がシッカリした人」の場合は何らかの社会的なアクションに至ることがありますが、正負のどちらのアクションにせよ、これは下位2割の中の極一部の者のアクションです。殆どの人はそんなエネルギーさえもう残っていない場合も多い。

日本人は「善性の強い優しく真面目な人」ほど、心身のバランスを崩して苦しい時には、「自責」「我慢」に向かう傾向が強いので、人知れず自殺する人が多いともいえるでしょう。(日本の自殺の約7割は心・精神の病に関連する物言わぬ自殺なのです。)

そういうことが何十年も続いて、ようやく「上位2割の一部」は重い腰を上げ「極一部だけ」を理解し、あるいは理解するフリをしてガス抜きしたり、問題を大きくしないように仕方なく対応するわけですね。(まぁ少ないですが、中には真剣に向き合っている人もいます)

 ○ 物事の本質の8割は、2割を見ればわかる。パレートの法則)

確かにそうですね、上位2割の姿、あるいは下位2割の姿を見れば、この社会の本質がわかるでしょう。「機能不全社会」での「パーソナリティ障害」生む「自我意識」の形成とそのタイプ

コメント

  1. ノムラマサカツ より:

     コレは恐ろしく深い、社会の縮図ですね。

     僕は間違いなく、下位の2割『遊離型性格』なのですが、、、『存在の要用な可能性、能力が生かされない現代の機能不全化した競争社会』の中で形成された『集合意識』に、抗い続けて、立場を失い、また得る事が難しいのだと気が付かされます。
     自分がパーソナリティ障害(タイプは未だ熟考、考察していません。)なのだと、気が付かされました。
     その下位社会の中に於ける負の連鎖の構図を正に最も表しているのが、介護職や保育士、倉庫業、飲食業、等と、言った底辺の職種に見られる構図は、正に典型的ですが、問題に根幹的な治療をするならば、慣例?が、法より重要視されるような、低脳を、上位の二割の管理職が、持ってしまっている、と、言う事になる訳ですが、、、そして其処へのメス入れは、比較的容易と思われますが、しかし、問題の本質への切り込みは、もっと深く、根強い処に在るのだと気が付かさせられました。
     難しいですね。

  2. ノムラマサカツ より:

    根本的に?例えばですが、、、ヒトとヒトが繋がりを選択しやすくなったとしたら?コミュニティーを選択しやすくなったとしたら?引っ越しがし易くなったとしたら?国家共同体を選択しやすくなったとしたら?そして、ソレが益々加速度的に理由同化しやすくなるとしたら、、、これらの問題は、安易に解決されるのではないだろうか?と、も、思えるのは、僕だけだろうか?

  3. teko より:

    「パレートの法則」では?

  4. korobokkulu より:

    ありがとうございます(^-^)

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