食と運動 うつ・心身の調整と自我の強化と調和

 

 

今日は「食と運動」をテーマにしていますが、心身の調和がテーマなので、「味」がメインではなく、バランスの方ですね。この記事は「うつ」だけでなく「メンタル」の弱い方、心身の健康・安定バランスが悪い方にもおすすめです。

ではまず、「うつ」・「冬季うつ」に関する外部サイト記事を紹介します。(2018 追加更新

「冬うつを吹き飛ばす食事術 気分の落ち込みを招く「栄養素不足」の恐怖=新井貴」 より引用抜粋

心の病であるうつ病に食事がどう関係するのか。国内の精神栄養学の第一人者として知られる国立精神・神経医療研究センター神経研究所・疾病研究第三部(東京都小平市)部長の功刀(くぬぎ)浩医師はこう話す。

「うつ病の人の脳内では、モノアミン神経伝達物質(ドーパミン、セロトニン、ノルアドレナリンなどの総称)の放出が減り、BDNF(神経栄養因子)というタンパク質が不足して、

気分や感情を調節する機能が低下していると考えられています。モノアミンやBDNFなどが作られる過程で必要となる栄養素が不足すると、うつ病の発症リスクが高まると考えられます」

たとえば、精神の安定や睡眠に深く関わっている「セロトニン」は必須アミノ酸のトリプトファンが原材料となる。快楽物質として知られる「ドーパミン」はアミノ酸のチロシンを原材料とし、

同じく抗ストレス作用を持つ「ノルアドレナリン」と「アドレナリン」の前駆体でもある。そして、これらの原材料からモノアミンが合成される際にも鉄、メチオニン、葉酸などの栄養素が必要となるという。

脳内の神経細胞(ニューロン)を育てる作用のある「BDNF」を減らさないことも大切だ。うつ病はストレスが続いた後に発症することが多いが、

動物にストレスを与えると脳の海馬という領域のBDNFが減少することが分かっている。事実、うつ病で亡くなった人の脳を調べると、海馬でBDNFの量が減っていたという報告が多いという。
(中略)
では、どんな食品が有効なのか。功刀医師は、最も手っ取り早い食習慣として普段飲んでいるものを「緑茶」に替えることを勧める。

東北大のグループが09年に発表した1058人の高齢者を対象にした調査では、緑茶を1日4杯以上飲む人は、1日1杯以下の人と比べて、うつ症状を持つリスクが約半分だったと報告されている。

「緑茶に含まれるうまみ成分のテアニンには、精神安定作用があるのです。私たちのマウスを使った実験では、テアニンを投与するとBDNFが増えることが観察されています。

また、うつ病の患者さんでも1日250ミリグラムのテアニンを約4週間飲んでもらったところ、うつ症状がかなり改善しています」(功刀医師)
(中略)
「日照時間が極端に短く、冬季うつ病が多い北欧では冬の間はビタミンDのサプリメントを飲むように指導されていて、ビタミンDが冬季うつ病に効くという論文も出されています。

また、13年に報告された海外研究でも、ビタミンDの血中濃度が低いと、うつ病のリスクが上がるとされています」(功刀医師)– 引用ここまで- (続きは下記リンクより)

引用元⇒ 冬うつを吹き飛ばす食事術 気分の落ち込みを招く「栄養素不足」の恐怖=新井貴

 

↑ 上の記事では「緑茶」「ビタミンD」などが出てきますね。他にも、例えば『 コーヒーは適度であれば「うつ病」のリスクを減らす』といわれていますが、

大量に飲むような場合は逆にリスクを増やすともいわれ、また「双極性障害」の場合は「コーヒーをよく飲む人」は自殺リスクが2倍以上高い、というデータもあります。

最近は「食事改善でうつ病が改善する!」とか、「運動がうつに良い」とか、よく聞くようになりましたが、そもそもこういうものは古来から東洋では感性的に深く理解されていたもので、

新事実とか、大発見とか、そういうものではありません。古来の人は感覚でそれを知っていたんですね。とはいっても何がどう働きどう作用した結果なのか、そういうところを明確にするのは科学の役割です。

東洋や感性的なアプローチの中には、曖昧だったり思い込みだったり怪しげなものも含まれてはいますが、同時に深い知恵があると感じられるものも確かにあるし、また「食」には「文化」としての側面や「個々の嗜好・相性」もあるので、

「現時点で科学的に不明瞭」という理由だけで全部ダメというような味もそっけもない合理的スタンスだけではなくて、温故知新のスタンスも含めて古来の東洋的感性と西洋科学を両方で書いていきますね。

ではまず「統合医療」・「健康食品・素材」に関する厚生労働省の情報を参考として紹介しておきます。

 

◇「統合医療」情報発信サイト
厚生労働省「統合医療」に係る情報発信等推進事業 より

厚生労働省が医師を対象とした情報提供用パンフレットとして作成しました。健康食品の基礎的な知識や健康食品の問題点、日本医師会の取り組みなどを紹介しています。(厚生労働省・日本医師会・医薬基盤・健康・栄養研究所/2016年2月改訂 、B5版・全16ページ)「統合医療」情報発信サイト

「心・意識」は体を含むものであるため、それは「自然」と相互依存しています。そして「食事」「運動」は、体に作用し、「心・意識」に作用します。

人に必要な3大栄養素は蛋白質、脂肪、炭水化物ですが、3大栄養素の頭文字P、F、Cをとり、各エネルギーの比をPFCエネルギー比と言います。それぞれの適正比率は一般にP:13~20%、F:20~30%、C:50~ 65%といわれています。

日本人の食生活というのは文化・感性によって生まれたものであり、科学者が計算したものでもなければ、栄養士が指導したものでもないのに、「自然に健康的なもの」であったわけです。(もちろん完全・完璧という意味ではありませんが。)

特定の人を除いて、一般人は毎日カッチリ計算し細部までチェックされた管理メニューのような厳格な健康食を毎日実施しているわけではありません。ですが日本人の寿命は現在世界一位です。

そもそも食事だけで健康の全てが決まるわけではないわけですね、遺伝や環境、ストレス、その他複合的なもので決まるわけです。そして感性が自然と調和しバランスよく生きているときは、人の体と心は「自然と調和した適切な選択」に落ち着くでしょう。

なので、健康を意識し過ぎて極端に偏った特定の栄養素だけとるような食事というのはやはりバランスが悪いし、逆にまったく無意識に暴飲暴食しまくるのもバランスが悪いわけで、

そういう違和感が感覚的に自然に感じられる状態であれば、適度な感じに落ち着くということです。とはいっても食には楽しさや文化的なものも含まれるので、無味乾燥な健康食だけを勧められても味気ないですね。

古来から引き継がれた日本文化は自然と見事に調和した文化であり、日本の食文化は豊かで楽しいものです。だからあまりに健康バランスばかりに偏りすぎるのもどうかなと思います。

「日本におけるがんの原因」 より引用抜粋

日本では男性のがんのおよそ55%(がん発生については53%、がん死については57%)は予防可能なリスク要因によるものでした。一方、女性では予防可能な要因はがんの30%近く(がん発生とがん死でそれぞれ28%と30%)を占めました。

男女総合で見ると、まず喫煙と感染性因子がそれぞれ20%前後を占め、日本ではずば抜けて大きいリスク要因であり、その次に飲酒が続きました。

第1位のリスクは男性では喫煙がですが、女性では感染性因子になります。これは主として男性の喫煙というリスクの保有率が女性よりも高いためです。

男性の喫煙率は近年低下傾向にあるため、喫煙によるがんは今後減少していくことが予想されます。肝炎ウイルス感染などの感染性因子のPAFは、欧米では5%前後と推計されていますが、日本では際立って高くなっています。

内訳のうち、特に大きな位置を占めるのはC型肝炎ウイルスとピロリ菌ですが、これら因子の保有率は世代が下るに従って低下していますので、感染性因子の影響も今後低下することが予想されます。

また、食事要因の影響が欧米の推定よりもはるかに小さいことが示されました。これについては、日本人の食事がもともと健康的であることのほかに、この研究では塩分、果物不足、野菜不足に限って推計していることが挙げられます。

日本人の食習慣を調査で正確に把握することは難しく、誤分類などによって、本来のリスクが過小評価される可能性があります。食事要因を明らかにしている疫学研究の数も限られます。
– 引用ここまで- (続きは下記リンクより)

引用元⇒ 日本におけるがんの原因

そして、体だけではありません。東洋医学には元々「心身一如」という考え方があり、食の乱れは体の乱れだけでなく心・意識の乱れに繋がっている、と考えるんですね。これは私もそう実感しています。

 

心身の調整と自律神経の働き

過去のトラウマや負の記憶は、不安・怒り・憎悪・悲哀・恐怖・絶望感・抑うつ感などを生起させたりしますが、「負の情動運動」は強いストレスとなるために自我の防衛機制によって次第に抑圧・否認されていきます。

この「防衛機制」というのは、本来は自我を守ろうとして緊急措置的に起きるものですが、もし抑圧・否認されることなく脳内ループとしてぐるぐる回り続け、さらに「負の情動運動」が強化されていく場合、これは「人格化」し、否定・攻撃性のパーソナリティとして顕現化されます。

そして逆に「抑圧や否認」が過剰になる場合は、その反復性・強迫性が自分自身に向かい、感情の鈍磨・麻痺・による解離性健忘、転換性障害といった症状へと発展する原因にもなります。

つまり、負の記憶と情動が抑圧されて意識化・言語化されず外部表現されなかった場合でも、その否定的な影響力は消えたわけではなく、それは内部を機能不全化させ、PTSDの症状をはじめとする様々な心身の症状になって外に現れてくるのです。

 

心身の調整というのは、単に薬で強制的に外部コントロールするだけでは何も根本が解決されません。食事や睡眠、運動や様々な療法によって自律神経が生き生きと働くように回復させ、心身共に体調を整え、

自然治癒力・ストレス耐性を高めていくことで、自律的な内部コントロールが出来るようになります。これが個の自然自我の癒し・強化・調和のベースになります。

自我が内的な激しい負の感情や外的ストレスに圧倒されて自己制御を失ってしまう状態では、危機介入によって一時的に薬が必要になる方もいるでしょう。ですが本来の目標は、感情・意識の状態を自発的に安定化させるだけの機能の強化・調和・バランス回復にあるわけなんですね。

感情・意識状態を安定・調和させる危機介入としては、認知行動療法・マインドフルネスによる感情・意識状態のセルフコントロールと、心理学的アプローチによる安心感・自己肯定感の強化などを複合して行います。過去記事も参考にどうぞ。

 

〇 胃腸と丹田  心・無意識の調整と健康のエクササイズ 
機能不全家族 虐待 「PTSD」トラウマ治療
認知行動療法 マインドフルネス 方法・実践 メンタルヘルス

 

太極拳   武道と統合医療

医師で臨床思想家の亀井眞樹 氏の統合医療では、「太極拳」をメインに取り上げて紹介しています。

 

亀井眞樹

1987年東京大学医学部医学科卒。東京大学大学院医学系研究科単位取得。日本神経学会認定神経内科専門医。太極拳家・馮志強について太極拳 の源流となる陳氏太極拳を学んでいたことから、自然と漢方医
学に関心を持つに至 った。

「黄帝内経」「傷寒論」などの中国医学の原典に直接あたりつつ、白川静の「字源」「字統」などを参考に、「翻訳はされていても、医学的な意味や価値は十分に理解されていなかった」曖昧な領域に大胆に踏み込み、独創的な漢方医学の基礎理論を構築。

参考⇒ 医師・臨床思想家 亀井眞樹 第6回 私の考える統合医療とは

 

例えば、線維筋痛症の患者が太極拳をすることで、8割の患者に症状の改善がみられたという統計的な効果の検証や、パーキンソン病の患者が太極拳をすることで転倒回数が低下した、というデータですね。

私のブログでは、気功・ヨガ・ストレッチ・呼吸法などをエクササイズとして紹介していますが、私自身は過去に中国武術と空手を、武道の先生の指導の下にやっていた時期があります。「太極拳」は内家拳に含まれます。そして気功の概念で言えば、「太極拳」は「動功」ですね。

このブログでは、気功・ヨガ・ストレッチ・呼吸法など基本的なものだけをエクササイズの中心に置いていますが、これは心身が弱っている方でも出来るギリギリのところを紹介しています。

ですが、もう少し体を動かせる方、動かしたい方、その時間的・体力的に余裕がある方は、「太極拳」はおすすめです。空手はさらにもっと気力・体力がないと練習はキツイですので。武道は個の自然自我を強めますが、自然自我を単に無思慮に強めるだけでは、ただの自己中や乱暴者になる場合もあります。

ですがそこはさすが日本の伝統文化、深いですね、ちゃんと自然自我と精神を調和させる古来の知恵、それが日本の芸術や文化にはエッセンスとして含まれています。

以下に紹介の動画は、易筋行などを駆使した太極拳の技法を、簡単にした「簡化24」です。

食事療法

2010年に発表された国立国際医療研究センターの論文によって、「食を食べている人はうつ症状の頻度が西洋風の食事や動物性の食事を摂取する人に比べると低」というデータがありますが、

このような「○○がうつに効く」というようなニュース記事や論文などをたまに見ます。実際のところ、その有効性・信頼性は科学的・医学的にはどの程度のものでしょうか?

運動療法の関連記事でも紹介している外部サイト『 医者と学ぶ「心のサプリ」』「うつ病に有効な食事と栄養」に関する記事を紹介しておきます。⇒ うつに効く食べ物とは?うつ病に有効な食事と栄養

 

食事療法では、東洋では漢方アーユルヴェーダが古来からありますが、それもまたいつか別のテーマで書くかもしれません。 食はその民族・文化・自然環境との相性もありますので、

何でもかんでも漢方やアーユルヴェーダを絶対基準にしなくても、元々日本にある食事・食材・料理をバランスよくとって調整することで基本的に対応出来るでしょう。

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