鬱(うつ)病 – 薬 『抗うつ薬の危険性』 

 

SSRISNRIは最近もっともよく使用されている抗うつ薬における第一選択薬ですが、様々な問題が指摘されている薬でもありますね。以前テレビや雑誌などでも色々と話題になりましたね。

以下は精神科医の松崎朝樹 氏による抗うつ薬の副作用についての解説動画の紹介です。

 

 

抗うつ薬の副作用による自殺や攻撃性の増大、あるいは余計に症状が悪化したなど、様々なことが複数の当事者や専門家等から言われています。

そして厚生労働省が日本製薬団体連合会に対して、18歳未満の「大うつ病」に抗うつ薬を投与しても効果が確認できなかったということで、添付文書を改訂し、医師に慎重な投与を求めるよう要請したというのも最近、2013年の話ですよね。

ico05-005 24 歳以下の 大うつ病性障害患者に対して SSRI および SNRI の使用は自殺念慮や自殺行動の発現のリス クが有意に上昇するので注意が必要である。

参考PDF ⇒ 18 歳未満の大うつ病性障害患者に対する抗うつ薬

しかもその時の対象となった抗うつ薬というのはSSRI系SNRI系NaSSA系の合計8製品で、これってみんな精神医学で用いられている新薬ばかりです。

それではここで、うつの治療で薬の副作用に苦しんだ当事者の方の二つの動画を紹介します。体験をもとに作られたこの動画はとても参考になります。

 

「2011年7月5日 タイム HealthからBy Alice Park」 より引用抜粋

自閉症とSSRIの関連

最新の研究発表によると、妊娠時に抗鬱剤を飲んでいる人では、飲んでいなかった人に比べて生まれた子供の自閉症の発症率が高いのが分かった。

1,700人の子供を対象にした調査(その中に300人弱の自閉症スペクトラム障害子供を含む)では、母親が子供を生む前の年に抗鬱剤を飲んでいた場合、抗鬱剤を飲んでいない女性に比べて2倍高い自閉症スペクトラム障害発症率を示していた。

特に妊娠最初の3ヶ月間に飲んでいた人では4倍高い値であった。この研究ではSSRIと呼ばれる抗鬱剤を飲んだ人を対象に行われた。SSRIとはプロザック、パクシル、ゾロフト等の抗鬱剤で、脳細胞中のセロトニンレベルをげて鬱状態を解消する作用を持つ。

 – 引用ここまで- (続きは下記リンクより)

引用元⇒ http://mui-therapy.org/newfinding/autism-ssri.html

↑上の記事をそのまま鵜吞みにするのではなく慎重に客観的に見るのであれば、以下のサイト記事のような見方の方が科学的態度と言えます。妊娠中の抗うつ剤の使用と自閉症との関連について

まぁ今回の記事で書きたいことは「薬なんて絶対不要・効果なし・有害!」などというような極論が言いたいのではありません。

ですが、向精神薬は決して完成されたものではなく、あるいは効果及び副作用には結構個人差があるものであり、また「医師の判断」や「薬の使い方」に関しても個人差があり、

薬も精神医療も決して万能ではなく「まだまだ試行錯誤の途上にある不完全なもの」という認識は持っておいた方が良いでしょう。

そういう意味で、以下の記事も参考にどうぞ。

〇 抗鬱剤の妊娠に及ぼす影響
〇 新薬開発の先細り
〇 主な精神疾患の治療指針を作成…薬の処方などに統一性

2018  追加更新 – ここから  –

以下の外部サイト「メディカルノート」の記事はコンパクトにわかりやすく要点がまとめられているので、参考記事として追加で紹介します。「メディカルノー」は当ブログのおすすめのメンタルヘルス及び医療検索サイトのひとつです。

「うつ病の薬の種類と特徴—離脱症状や副作用はある?」 より引用抜粋
(前略)
うつ病と診断されると、ある程度以上の重症度では、患者の意向が特別にない限りは、基本的に薬による治療を行います。しかし、ここで心に留めていただきたいのは、うつ病は薬だけで治るものではないということです。

薬はあくまでも治療の一部にすぎず、うつ病を引き起こしている、あるいは悪化させている要因を可能な限り除去し、過度な負荷やストレスを取り除き、必要なときには静養することがうつ病の治療には大切です。

薬と並行して非薬物療法を行うことが重要
先に述べたように、うつ病は薬だけで治すのではなく、並行して静養、環境調整、精神療法、心理教育、生活指導を実施することが肝要です。

実際に、薬物療法を実施しなくてもうつ病の症状が改善する方は少なくありません。これは、抗うつ薬の臨床試験*で用いられる、プラセボ(偽薬)の効果でも示されており[注1]、うつ病の症状改善には薬以外の要素もおおいに関係していると考えられます。

適度な活動もあわせて行うとより効果的
薬による治療を続けて、症状がある程度軽症となり、活動できそうなときは、ぜひ散歩や買い物などの適度な活動をすることをおすすめします。

後述のように抗うつ薬は神経伝達物質を増やして症状を改善しますが、神経伝達物質は適度な活動・運動によって神経から放出され、抗うつ薬によりその濃度がさらに増加します。

さらに、ストレスによって減る海馬の神経新生は、運動によって増えることが動物実験から明らかになっています。

実際運動療法はうつ病の治療に有効であることが臨床試験で報告されており、運動はうつ病治療において重要な手段となると考えられます。また、体力を落とさないためにも、意識して運動していくことが望ましいのではないでしょうか。
– 引用ここまで- (続きは下記リンクより)

引用元⇒ うつ病の薬の種類と特徴—離脱症状や副作用はある?

続けて追加更新ですが、独協医科大学埼玉医療センターこころの診療科の井原裕教授は「抗うつ薬が本当に効いているのは、うつ病の5人に1人。残りの8割の人には、薬は無意味です」と言います。

このように医師によっても見解が違ってくるのでややこしんでしょうね。

「抗うつ薬は8割の患者に無意味!?」 より引用抜粋

「効いているのは5人に1人」
 それ以前にも、抗うつ薬の効果が限定的なことを示す研究は少なくありませんでした。1995年には、米国の精神科医が、SSRIの一種セルトラリンと、プラセボを比較。セルトラリンでは、うつ症状が改善した人の割合は60%だったのに対し、プラセボでも42%の人が改善したと報告しました。実際に抗うつ薬が効いた割合は、プラセボとの差である20%足らずだったわけです。
(中略)
日本うつ病学会の治療指針では、軽症の場合は「プラセボに対し確実に有効性を示しうる治療法はほとんど存在しない」と書かれ、薬物療法の効果を否定しています。軽症うつ病には抗うつ薬の効果がみられない、という海外の報告を踏まえた妥当な内容です。
(中略)
「プラセボに比べて有効性を示す治療法はない」と言いながら、薬を勧めるのは不合理です。
(中略)
薬より良い睡眠と運動を
 井原教授は「うつ病の治療は、薬物療法より生活習慣の改善の方が重要」と言います。中でもカギになるのが、睡眠不足の解消です。

– 引用ここまで- (続きは下記リンクより)
引用元⇒ 抗うつ薬は8割の患者に無意味!?

追加更新 – ここまで –

ナシア・ガミー「気分障害ハンドブック」によると、「抗うつ薬治療でうつ病が治ったら薬は続けるべきか中止するべきか?」に対しては、

 〇 『まだ1回しかうつ病になったことがない人であれば、抗うつ薬を終えることを考えていいだろう。しかし、反復性うつ病は、治療を終えれば再発のリスク高く、抗うつ薬治療を継続した方がいい。』

『治すべきは症状ではなく病気』、『双極性障害の治療において、抑うつ症状に対して抗うつ薬を、躁症状に対して抗精神病薬を、不眠に対して睡眠薬を、不安に対して抗不安薬を用いるような対症療法にはならない。双極性障害にまず用いるべきは気分安定薬だ。』

『 高齢者の血液脳関門は通過しやすく、腎機能が低下しており、高齢者ではリチウム使用で中毒が生じやすい。高齢者では血中濃度が低くでも、非高齢者と同程度の中枢神経系のリチウム濃度が得られる。高齢者のリチウム血中濃度は非高齢者の半量程度にするのがよい。』

とのことで、

的確な「鬱の種類」の見極め、「症状ではなく病気を治す」という基本的な姿勢、そして年齢や個体差によって対応を適切に行うなど、様々な判断が必要なわけですね。

もうひとつ追加更新で、以下引用紹介の記事は、2019年に英医学誌ランセットの関連誌で発表された京都大の古川壽亮(としあき)教授(臨床疫学)や英オックスフォード大などのチームによる研究です。

 抗うつ薬は、承認された用量の範囲内の少なめの量を飲むのが最も効果的とする研究結果を、日英などの国際チームがまとめた。結果をもとに研究者は、少ない量から始めて副作用に注意しながら増やすことを勧める学会の治療指針の見直しが必要と指摘する。 引用元 ⇒ 抗うつ薬、最低限の用量が効果的 「学会指針見直しを」

 

精神医療は問題もあるが良い取り組みもある

このように精神医学には問題は色々ありますが、否定的な情報だけを中心にピックアップすれば「なんて酷いんだろう」っていう偏ったイメージだけになりますよね。

ですが逆もしかりで、良いものだけをピックアップすれば「なんて素晴らしんだろう」ってなるわけです。そういう大衆心理の動きがどうにも私には偏ったものに思えてならないんですね。

メディアやネットで凄いと宣伝されればワーって群がって、悪いっていうことが出てくれば今度はワーってみんなで徹底攻撃って感じに コロコロコロコロ...同調ばかりで、そのような早変わり七変化の群衆心理には私はなじめない性格なのです。

「何とかの真実」「何とかの裏話」とかって言葉が世の中には多いですが、どこからか見つけ出した裏情報とか否定的な事実ばかり紹介し、その角度からの視野だけに簡単に全身染まっていく人達の心理が、なんだかとても息苦しいんですね。

そもそも精神医学なんていうのは、多くの精神障害がまだ「疾患単位」としては何も実証されていないような、そういうわかりにくいものを扱っているわけで発展途上の学問です。

ちょっと昔に遡れば、えっそんなことが「常識」として信じられていたの?ってことばかりですよね。それを幾度も修正・改正・再定義しながら少しずつそれぞれの分野を発展させていったわけです。

例えばフロイトなんて麻薬(コカイン)が精神病の特効薬だなんていって勧めていたわけです、フロイトの精神分析を全面的に認めることは出来ないにしても、彼の着眼点の中には深い部分も確かにあるんですね。 それはユングも同様です。

まぁコカインはNGなんですが、違法薬物・麻薬指定で全身麻酔薬につかわれる「ケタミン」がうつ病・双極性障害・PTSD・自殺行動に即効性の効果があると注目されています。

麻酔薬ケタミンのうつ病・うつ状態への効果
うつ病治療薬として臨床試験が進むケタミン
麻酔薬ケタミン、抗うつ薬へ研究~即効性が強み

そして精神医学以前に、そもそも医学の発展自体がおびただしい失敗と実験の歴史でもあり、いや医学だけでなく、政治だって他の科学や文化的なことの発展にしたって失敗や犠牲、様々な葛藤や試行錯誤なくして発展などなかったでしょう。

社会・文明はそうやって発展してきたのです。「常識」自体も絶対の基準ではなく、未来に向けて進化し変化していく暫定的な基準に過ぎないものです。

世の中、精神医学にかぎらずどんなことにも正があれば負もあるから、片面の姿だけ見るだけでは「立体」にならないでしょう?って私は思うんですね。

私は身近に存在する悪い医者も知っていますが、良い医者や良い取り組みもよく知っているんですね。 決して精神医学は悪魔的な人体実験行為などではありませんが、現場の治療は完全でもなく絶対でもなく色々と問題も多い未成熟な分野です。

そしてどの専門分野であっても、不完全さの中でより良いものを目指して生きる人々の葛藤や努力というのは、同じ人間の真摯な取り組みの姿には変わりはないでしょう。

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