妄想性パーソナリティー障害(PPD)とは?

 

妄想性パーソナリティ障害(PPD)ってどんな人格障害?っていえば、簡潔にまとめると、以下のような傾向の人の事ですね。

『 警戒心、猜疑心が強くて自分の周りの出来事・言動を悪意的に解釈、あるいは被害妄想的に解釈しやすい。他人に強い不信感を持っていて思い込みが強く頑固でありながら、プライドが高く自意識が過剰であるために勝手に思い込んで傷つき、しかも不当な逆恨みの念を抱きやすく過剰なプライドを持っていたりもする。』

 

どんなタイプの人に多い人格障害か?

 

 「世界の悪意」を妄想的に過剰に疑い決めつけて信じ、陰謀論を説いたり信じたりするようなタイプの人

  過剰な超人願望などがあり宗教的な階級意識・選民意識の優越感などに浸って一般人を見下しているようなタイプの人

  ストーカーのように否定的な信念で自分は正しいと信じきっていて執念深く復讐的なタイプの人

  自分には特別な能力・才能が備わっているという本人だけが無自覚な過剰なプライドを持っていて、上から目線でアセンションを説いたり信じるタイプの人(人間を光側と闇側に分けたがるようなタイプの人)

  ネット弁慶のようにプライドが高くて警戒心、猜疑心、不信感が強く、攻撃心の塊になってるタイプの人

◆ 千葉県柏市の連続通り魔、竹井聖寿容疑者には本質的な要素が当てはまるものが多く、他の要因とも重なりさらに病的に悪化したケースですね。 ⇒ 竹井容疑者と最近の犯罪傾向

 

ここで追加更新ですが、DSM-Ⅳ➡ DSM-5 へ診断基準が更新されたので、妄想性パーソナリティ障害とDSM-5に関する記事を「MSDマニュアル」から引用・紹介します。

「MSDマニュアル」妄想性パーソナリティ障害(PPD)より引用・抜粋

妄想性パーソナリティ障害患者は,他者が自分を利用する,裏切る,または害する計画を立てていると疑う。患者は,いかなるときでも,理由もなく自分が攻撃されるかもしれないと感じている。

証拠がほとんどないか全くない場合でも,自分の疑念および考えを主張し続ける。しばしば,このような患者は他者が自分を大きく,取り返しのつかないほど傷つけたと考えている。

患者は潜在的な侮辱,軽蔑,脅し,および不忠がないか非常に警戒しており,発言および行動に隠れた意味がないか探る。自分の疑念を裏付ける証拠を探して他者を詳細に吟味する。

診断基準(Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders, Fifth Edition[DSM-5])

妄想性パーソナリティ障害の診断を下すには,患者に以下が認められる必要がある:

他者に対する持続的な不信および疑い深さ
この不信および疑念は以下のうちの4つ以上が認められることにより示される:

他者が自分を利用している,傷つけている,または裏切っているという根拠のない疑念
友人および同僚の信頼性について根拠のない疑いにとらわれている
情報が自分に不利に使われるのではないかと考え,他者に秘密を打ち明けたがらない
悪意のない言葉または出来事に誹謗,敵意,または脅迫的な意味が隠されていると誤解する
侮辱,中傷,または軽蔑に対して恨みを抱く
自分の性格または評判が非難されたと考えやすく,性急に怒りをもって反応したり,反撃したりする
自分の配偶者またはパートナーが不貞を働いているという根拠のない疑念を繰り返し抱く
また,症状は成人期早期までに始まっている必要がある。

引用元 ➡ 「MSDマニュアル」妄想性パーソナリティ障害(PPD)

 

 DSM‐Ⅳによる人格障害の分類

米国精神医学会(APA)による精神病の診断基準DSM-IV-TRでは10種の人格障害をA・B・Cの3つのクラスターに分類し、このA・B・Cの3つのクラスターの中で妄想性パーソナリティー(人格)障害 はクラスターAに分類されています。

統計では、妄想性人格障害の発症率の人口の約0.5~2.5%ほどであり、妄想性人格障害は反社会性人格障害や境界性人格障害のような人格障害と同様に、思春期より前であれば人格がまだ確立する前なので、人格障害ではなく行為障害と診断される事が多いらしいが、

子供が奇妙な妄想していても子供と言うことで「子供なんてそんなものだろう」的に見過ごされているだけかも知れず、十代後半になっても奇妙な妄想していれば、周りから「おかしい」と言われ始めるのは当たり前であるから、元々あったものが大人になってきて目立つようになっただけのようにも感じる。

 

クラスターABCの分類

クラスターA

自閉的または分裂気質であり、妄想を抱きやすく、奇特・変人で対人関係に否定的な態度を表す傾向がある。

クラスターB

ストレスに耐性がなく、感傷的で激情タイプの気分屋。演技的であり、他を巻き込む傾向がある。

クラスターC

不安・恐怖心が人一倍強く、臆病で内向的であり、過敏に他者からの評価気にする傾向がある。

パーソナリティ障害は、統合失調症、鬱病、パニック障害、PTSD、などとは異なり、元々本人が有する性格そのものが原因となって起こってくる精神的な障害であり、他の精神病や神経症なども発症しやすいとも言われている。

 

 妄想性パーソナリティー障害の診断基準

妄想性パーソナリティ障害はクラスターAに分類されるが、クラスターAには全部で3つの障害がある。

クラスターAに分類される人の特徴をもう一度整理すると、自閉的であり社会的 ・日常的な人間関係(宗教・精神世界のグループ関係などは除く)が希薄であり、 かなりの変人・奇人のために社会から孤立し、引きこもりがち。

 

 クラスターA の3つの障害

1.妄想性人格障害 (妄想性パーソナリティ障害)  2.統合失調型人格障害 (統合失調症の陽性症状に近い)

他者に対して被害妄想的な関係妄想関係念慮

関係妄想/関係念慮」とは関係ない外部のできごとが自分と関係があると感じたり、特別な意味があるように感じる。またはそうであると疑うこと。

生霊・サイキック攻撃・電磁波攻撃をされていると思い込んだり、テレパシーや神秘的能力への異常な関心、また話の筋道が立たず、論理的性に欠く。 不条理・不適切な思考が表出するなどの病的障害がハッキリと確認出来る。

 

3.統合失調質人格障害 (統合失調症の陰性症状に近い)

自閉的で、他者との親密な関係性が希薄である。心から気楽に話せる友人や本当に信頼できる知人もなく、奇人・変人と敬遠されている場合も多い。人への自然な優しさ、温かさが見受けられない。

 

 DSM‐Ⅳによる妄想性人格障害の診断基準

何かにつけて疑いの念が非常に強く、その兆候が20代初期まで起こり始める。他者の言動に対して屈折した思い込み的な解釈をしてそれを曲げず、執念的な執着性がある。

以下の①~⑦の基準の中に、少なくとも4つ以上があてはまるものがある。

妥当な根拠などどこにもない場合でも、他者が自分に悪意を持ち不当に利用し危害を加えようとしていると決めつけて思い込んでいる。

友人・知人などの人間性に異常な不信感を持ち疑念に苛まれ続けている。

自分の秘密や情報を他者に漏らすと不当に用いられると思い込み、その恐怖と不安から自分の事を打ち明けようとはしない。

特に作為的な意図や悪意などはない言葉や出来事の中にも、自分を批判したり攻撃するような意味が込められていると思い込む。

他者から侮辱されプライドを傷つけられたりすると、いつまでも根に持恨みを抱き続ける。

自分が周りからどう見られているか?に非常に過敏であり、人への不信から自分が批判されていると思い込み決めつけて逆恨みし、キレたりする。

何の根拠もないのに、妻や恋人に強い不信感を抱き、浮気や不倫を疑う。

※統合失調症、精神病性の特徴を伴う気分障害、または他の精神病性障害の経過中にのみ起こるものでなく、一般身体疾患の直接的な生理学的作用よるものでもない。

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