まず先に、信頼できる医学情報を無償で公開している外部サイト「MSD Manual」 より「統合失調症」と「解離性同一症」のページを紹介します。
「MSD Manual」は「医師・医学生向きのプロフェッショナル版」のページと家庭版(一般向け)のページに分かれており、ここでは家庭版を紹介しています。
統合失調症と解離性同一性障害(多重人格)は非常によく似た症状を表し、特に「幻聴」に関しては専門家でも見分けにくいと言われ、以前は解離性同一性障害の人も統合失調症として扱われる状況だったようです。
「解離性同一性障害」の場合の幻聴は、抑圧され封印されている「過去の自分自身の声」が心の中で聴こえてくるものとして感じられる。脳の機能異常は起きてはいない。
統合失調症の幻聴の場合は、脳の機能異常が起きていることで生じるため、その声は現在の声あるいは他者の声として心の外から聞こえるものとして感じられる。 ではこの違いをもう少し詳しくまとめてみましょう。
解離性同一性障害(多重人格)の場合
自我同一性=アイデンティティがバラバラになっている状態で、思考・感情・行動を統制することができなくなります。それが多重人格の姿として現れてくるわけですが、
「多重の人格」というよりは、一つの人格全体を構成している様々な面が、バラバラに断片化して現れている状態といったイメージですね。
統合失調症の場合
自我同一性=アイデンティティがバラバラなのではなく、アイデンティティが統制する「思考・感情・行動」というそれぞれの機能がバラバラな状態になっています。
通常の人の場合「思考・感情・行動」は関連性がありますが、統合失調症の場合、思考と感情、あるいは感情と行動の関連性がバラバラに機能し現れます。
統合失調症は脳や遺伝との関連性が高いと言われ、脳機能のバランス異常から認知が歪み、そこから妄想などが生まれてくるために、幻聴や幻覚があっても本人にとっては「現実」であり、それが幻聴や幻覚なんだという自覚が起きにくいのです。
一方多重人格の場合は、脳や遺伝のような生物学的な原因や先天的な因子との関連性というよりも、虐待やショックなどの精神的な原因、後天的な原因によって『別人格』を生み出すと言われ、
それは自己防衛から起きていると考えられています。 過去に非常に大きなショックを受けた事により、「自我の破壊を免れようとして別の何かに置き換えた」ということです。
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