機能不全家族で育った子供達は、そうではない家庭で育った場合とは異なり、ある特有の症状と行動パターンを示すことがあります。
そういう人々のことをアダルトチルドレン(AC)と呼びますが、人によってはアダルトサバイバー(AS)と呼ぶ場合もあります。
※アダルトチルドレンや機能不全家族という概念は元々は「アルコール問題家族」の分析から拡大された家族概念です。
機能不全家族に生まれた子供達は、その家族状況の中で選択的に家族の役割を演じるようになります。そしてその役割は強迫観念的に選択された硬直性を持ったものであるため、それは多くの歪を生みだすことにもなるのです。
アダルトチルドレン(AC)における家族の役割には以下の5つがあります。
1.英雄役 ヒーロー・ヒロイン
学校での優秀な成績、仕事場での活躍など、家族の英雄になってそうすることで家族のポジションを社会的に高めようとする。
2.道化役 ピエロ・マスコット
愛嬌をふふりまき、楽しくさせることによって家族の雰囲気を良くし家族を救おうとするパターンです。
3.支え役 殉教者・犠牲者
家族を自身が率先して支え、家族の問題や痛みを和らげようと黙々と忍耐するタイプです。 自らを犠牲にするような献身的な働きによって、家族の崩壊を支えようとするタイプです。
4.不在役 家なき子・傍観者
家族の感情を刺激しないように、自らは静かに目立たないようにして冷静に客観的に家族問題を傍観しています。
5.叱られ役 問題児・悪役
家族に起きている問題から注意を逸らすために、自身が悪役になりトラブルを起こし、自身の引き起こした問題の方に家族の注意を向けて家族を助けようとします。
これらは「アダルトチルドレン達」が演じる家族の役割であり不調和な状態にある機能不全家族において見られる役割の分類です。
アダルトチルドレンは誰がどれかの役を一つだけ選択するというわけではなく、状況・必要に応じて選択され、一人二役などのかけもちパターンもある。
バランスの良い家庭ではこれらの強迫観念的な役割選択はなく、親子の役割や関係性はもっと自然で穏やかなものであり、機能不全家族のような家族の役割がそのまま当てはまるわけではないが、
何らかのバランス異常を起こしている家族に於いても、これに似た現象が起きている事は多々観察される。
そしてアダルトチルドレンには長い時間をかけて深く蓄積された「不調和・トラウマ」が無意識に抑圧されています。
この蓄積された不調和・トラウマは、やがて様々な心身の不調となって現れてくるのですが、鬱や一部の精神障害などの原因の一つがアダルトチルドレンとも考えられています。
またアダルトチルドレンが蓄積された不調和・トラウマに無自覚なままで、それが解放されずに大人になった場合、その次の世代にも無意識の不調和・トラウマを継承してしまうことがある。しかし常にそうなると決まっているわけではありません。
両親が子供に与える影響
「幼い子供に人格なんてない」、「幼い子供は殆ど無意識的で注意深く考えてなどいない」「子供が大人になった後の人格や行動には親は関係ない」、「大人になったら全ては自己責任だ」、とそのように思っている大人が結構いますが、本当にそうでしょうか?
それでは全ては「遺伝子」のせいなのでしょうか? 先天的なものが全てを決めていると思いますか?
ここで、あるとても興味深い研究テーマを題材にした動画を紹介します。生後間もない赤ちゃんが、生まれた後の他者の反応を見て、素早く学習している、そんな貴重な研究のお話です。
後天的な「外側の状況」が、赤子にさえこれだけの判断パターンや作用をもたらしていることがわかります。 そしてその後十年以上、子供は親から継続的に直接的な干渉を受けていくわけです。
親が子供の基本人格や認識にどれだけ深い影響を与えているか、言わずもがなですね。
◇ アリソン・ゴプニック:赤ちゃんは何を考えているでしょう?
心理学者のアリソン・ゴプニックは、「乳幼児はさながら人類における研究開発部門です」と説明しています。彼女は幼児が遊んでいる時に、実際に行っている洗練された情報収集や意思決定について研究しています。
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