無意識の作用が作り出す想像力・能力・才能 統合失調症・うつ・神経症と芸術家と天才

 

これは個人的な実体験からも言えることなんですが、統合失調症・うつ・神経症と芸術家と天才や能力との関係は深いと言えるのです。(みながみなそうだということではありません)

統合失調症や人格障害というと世間では否定的な印象しかありません。確かに治療・回復が困難な深刻なケースもありますが、そればかりではないんですね。以下に過去に書いた記事のリンクを張っていますので参考にどうぞ。

 

アインシュタインの息子や芥川龍之介の母親が統合失調症であったことは有名で、本人自身も何らかの精神障害あるいは神経症が疑われている人たちです。

「能力が傑出している状態」というのは、その能力を支える反対の「偏り」とのバランスによって生み出されているとも言えるからです。

物凄く高くするためには、物凄く低いものでそれを支える必要が出てくるように感じます。平凡な人ほど善も能力も才能も高くない代わりに、その逆も低い。

それは別に悪い意味ではなくて、平均的に何でも普通レベルには出来るし、否定的な方向性にも酷いブレ方はしないという安定性がある、という意味でもあります。

ところが「能力が傑出している人」は、そのことに関しては突出しているが、他のことは恐ろしく未熟だったりすることがあります。

ですがそのほとんどの人は人間性が悪いという意味ではなく、何らかの心・精神のバランス異常といえるような、極端な偏りがあり、その部分のおいては普通の人よりもずっと劣っていることがあるわけです。

「こんなことも出来ないの?わからないの?」っていうくらい抜けていたり、でもそういう人が、特定の領域に関しては非常に高いレベルの能力を発揮することがあります。

だから私は決して人間は「一時が万時」とは思ってはいません。

「凄い人は人間性が総合的に良く出来ている」、「基本的な事はみなクリアーした上に人は高いものをその上に積み上げている」という、いかにも世間が好みそうな考え方は明らかに違うとなぁと感じてます。

むしろ、何かを犠牲にしてその高みに辿りついている人が多いと感じます。しかもそれが自分自身だけの犠牲に止まらず、「親や妻、あるいは子供たちの犠牲」の上に、という場合もあります。

「カミーユ・クローデルの作品にみる病理」 より引用抜粋

はじめに

現在、心理治療の世界では、芸術療法と呼ばれる心理療法があり、芸術が心の病の治療として有効であることが確認されている。しかし 、その芸術がもつ創造性自体が、精神病理に深く関わる側面を持ち合わし、これまで多くの創造者がその病の研究対象とされてきた。

その中で、創造者自身になんらかの精神変調が認められる場合、創造者の身内や身近な者による影響が見られることがある。筆者はその例として、女流彫刻家カミーユ・クローデル(Camille Claudel, 1864-1943)の創造と病理過程を取り上げ、

本人を取り巻くの影響が、芸術という創造性を生みだす無意識にどういった作用あるのか、また病理にどのように作用するのかを考察していく。

– 引用ここまで- (続きは下記リンクより)

引用元⇒ カミーユ・クローデルの作品にみる病理

私は「闇・影」「光」によって生まれるだけでなく、「光」を支えているのも「影」なんだというユングの洞察には深く共感しました。

大抵は「光  対 闇」的な、光を正義や善とし、影・闇を悪とするような単純な二元論に陥る人が多いです。それは社会でもそうだし、精神世界などもそういう人は多いですね。

ですが、「精神の光と闇」はそれぞれが単一に独立して存在するのではなく、一つの働きの二面性なのです。それは「陰陽の働き」と言い換えることも出来ますが、

それはどちらも必要であり、どちらかがの存在というものではなくて、相反する二つの性質が合わさって全体として一つの働きになるという役割なんですね。

影が光を支え、裏が表を支え、病気が健康を支え、悲しみが喜びを支え、そしてその逆もまた真なりというような、物事の立体性・相互依存性と相互補完性の働きの大きな循環運動が理解されると、

何故世界がかくも矛盾し、そして矛盾しているにも関わらず、何故か不思議と成立しているということの疑問の大枠が理解できます。

ニュートン、アインシュタイン、エジソン、コペルニクス、メンデル、 ダーウィン、カント、ヴィトゲンシュタイン、ハイネ、カフカ、プルースト、ベートーベンなど、みな身内・親族には統合失調症の者がいます。

2016/10/03 追加更新 - ここから  – 

情報処理・認知処理の多元性と認知特性のタイプ
遺伝と環境で見る気質・性格・パーソナリティ 
短所も長所 潜在性を生かす方向へ  アスペルガー症候群とHSP+AC

 

◇ 脳科学者:  池谷裕二  氏の情報より

躁うつ病や統合失調症には遺伝性があります。しかし危険遺伝子を持っているからといって必ずしも発症するわけではありません。

今朝の『ネイチャー神経科学』論文によれば、危険遺伝子のキャリアは作家や芸術家や俳優に多く、創造性に優れているそうです。http://goo.gl/wDXQgf

 

「ビッグ5を臨床で使おう:総合科学としての性格5因子パラダイム」 より引用抜粋

丹野研究室の三吉(2008)は、ストループ効果とプライミング効果を利用して、認知のゆるみを調べる実験をおこなった。
(中略)
その結果、創作的業績のある被験者は、ない被験者に比べて、プライミング効果量(反応時間msec)が有意に少ないこと、すなわち認知のゆるみが大きいことがわかった。

認知のゆるみが大きい人は創造性が高い。進化心理学的にみると、知能も拡散的思考(創造性)も、生物が環境に適応して生き延びていくために不可欠な能力である。

丹野研究室の三吉(2008)は、前述の認知のゆるみ(プライミング効果量)の実験をおこない、統合失調型との関係も調べた。実験の結果、統合失調型の高い人は、抑制量が少なく、先行する刺激の影響を受けにくいことがわかった。

先行刺激による抑制が少ないということは、認知のゆるみが大きいことを示している。統合失調型の高い人は、「抑制の拡散」が弱いので、一度にいろいろな連想が広がり、その場にふさわしくない連想まで湧いてしまうのであろう。

これによって、幻覚様体験や妄想様体験のような陽性症状がおこりやすいのであろう。別の見方をすると、統合失調型の高い人は、文脈による効果を受けにくいわけであり、ふつうの人が受ける文化的影響を受けにくく、独自の思考ができるということでもある。

これが発散的思考や創造性の基礎となるのではないかと考えられる。統合失調型パーソナリティ障害の人は芸術的創造性が高い傾向があるが、本実験の結果はこのことと関連している。
(中略)
ブロイラーのいう「連合弛緩」の考え方は、現代の「認知のゆるみ」という概念のもとになっている。

ただし、連合弛緩は統合失調症の症状であるが、「認知のゆるみ」とは、思考のまとまりがないというネガティブな意味だけでなく、文脈の影響をうけずに独創的な考え方ができるというポジティブな意味も含んでいる。

実際に創造的思考・拡散的思考の課題は、統合失調症を持つ人たちが優れていることが知られている(Keefe & Magaro, 1980)。また、丹野研究室の板東(2005)の健常大学生を対象にした調査では、開放性と統合失調型得点の間に有意な相関が得られた。

– 引用ここまで- (続きは下記リンクより)

引用元⇒ ビッグ5を臨床で使おう:総合科学としての性格5因子パラダイム

– 追加更新 ここまで –

もうひとつこのテーマに関連する外部サイト記事を紹介しておきます。

創造性と精神病をつなぐ遺伝学

 

ヨーロッパは統合失調症の天才が多く、日本は双極性障害(躁うつ病)の天才が多いといわれています。

統合失調症の天才に、シューマン、夏目漱石(双極性とも言われる)、うつ病(双極性を含む)の天才は、ゲーテ、チャイコフスキー、宮澤賢治など、そして最近ではハリーポッターの作者J・K・ローリングですね。双極性障害は有名人や成功者にも多い、といわれています。

「天才的科学者のひらめき、武道・職人の達人の暗黙知、アートの世と無意識はとても関係が深く、神秘体験・宗教体験なども無意識の領域を垣間見た断片でもあります。 以下に参考PDFを紹介します。

無意識は宇宙のように人類未踏の神秘な世界である  細井 三男

それではここで、精神病の少女が見た幻想的な想像世界と自己の破壊を描いた動画である「Caldera」を紹介し、その後に続けて宮沢賢治の「銀河鉄道の夜・予告編」の動画を紹介します。

ラストに紹介の動画は宮沢賢治の童話作品「銀河鉄道の夜」のアニメーション動画です。音楽・絵・構成、本当に素晴らしい名作だと思います。宮沢賢治は躁うつ病でもありましたが、その想像世界は驚くほど豊かで引き込まれます。

 

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