気のふさいだ馬を見たことがあるか? しょげかえった小鳥を見たこと があるか? 馬や小鳥が不幸にならないのは、仲間に「いいかっこう」 を見せようとしないからだ。(デール・カーネギー)
「アニマル・セラピーの理論と実際」という本では、アニマル・セラピーの背景となる理論や研究を概観し、さまざまな現場における実践例を数多く紹介しています。
『高齢者福祉施設等で実施される「アニマルセラピーについての効果」の検証事業」は、高齢者福祉施設でアニマルセラピーを実施した場合の高齢者の生活機能や精神状態、職員の負担感や満足度などについて調査した報告書ですが、アニマルセラピーは高齢者の生活の質の向上や職員のモチベーションの向上に有効であるという結果が示されています。
「認知症高齢者に対するアニマルセラピーの効果」は、認知症高齢者に対して犬による動物介在療法(AAT)を実施した場合の社会性、活動性、精神性の3点で効果を評価した研究です。
AATを施行することは周囲の人や犬への関心を高め、生活への潤いを増すとともに、活動量が増え日常生活の自立度やQOLの低下を予防し、精神ストレスの緩和やうつ状態の改善になるというエビデンスを得ることができたとしています。
アニマルセラピーはストレス解消になるだけではなく、認知症やうつ病などの症状改善も期待できるとして、医療や福祉などさまざまな分野で取り入れられていると述べています。
私は犬や猫はもちろんですが、生き物全般が好きなのでその癒し力は子供の頃からよく知っています。
「私たちは人間であり動物とは全く違う」という人もいますが、ヒトをヒトたらしめる大脳新皮質は、系統発生的には新しいもので、古い旧皮質や古皮質の前方に発達したものに過ぎません。
その土台の一つである旧皮質や古皮質から成る部分を「辺縁脳」と言い、この辺縁脳とへん桃核やその他の部分を総合して「大脳辺縁系」と言いますが、大脳辺縁系は「ネコの脳」と呼ばれることもありますが、
しかし、これは単に大脳辺縁系がネコの脳の大部分を占めているという意味であり、ヒトの大脳辺縁系とネコの大脳辺縁系が同じ構造や機能を持っているわけではありません。
辺縁系は情動や本能行動(食欲・性欲・喜怒哀楽・集団欲・攻撃・恐れ・やる気)などの本能的な中枢の役割をつかさどっています。また、記憶のセンター海馬とも繋がり情報伝達をしています。
そして動物の生命活動の基本的な営みをコントロールする「脳幹」もどんな人にも存在しますが、「脳幹」は脳と全身を結ぶ中継点であり、これは「ワニの脳・恐竜の脳」とも呼ばれ、爬虫類時代から引き継いだものですが、
これは脳幹がワニや恐竜の脳の大部分を占めているという意味であり、ヒトの脳幹とワニや恐竜の脳幹が同じ構造や機能を持っているわけではありません。
これらの土台の上に、新皮質は新たな機能として追加されました。つまり、ヒトと動物とは認知能力に差異があるとはいえ全く別物ではなく、イキモノとして観れば、連続し繋がった生命存在でもあるのです。
次に紹介の白熊と犬が遊んでいる動画も癒し度高いですね。
Polar bears and dogs playing
犬の癒し
アメリカでは捨て犬と非行少年の交流による更生プログラムが実際に行われているのですが、以前、実話をもとに映像化されたテレビ番組で、捨て犬を育てるアメリカの非行少年の更生プログラムを見たことがあります。
その捨て犬は飼い主に酷く虐待されて捨てられ保護された犬で、攻撃的で過度の人間不信になっており、その犬を、「同じく人間不信になって心を閉ざした非行少年が育てる」という内容でした。
※犬の名前は何だったか忘れましたが、ここでは 「ジョン」ということにしておきます。
彼は最初は全く呼びかけの言葉に反応せず、ただ自分を睨む犬(ジョン)を嫌っていましたが、 徐々にその犬(ジョン)が「自分ソックリだ」ということに気付きました。
彼はだんだんその犬のことが気になり、少しずつ犬(ジョン)に心を開いて接していくと、犬(ジョン)もまた彼に少しずつ心を開いていったのです。彼が一歩心を開いて犬(ジョン)に近づくと、犬(ジョン)もまた一歩だけ彼に近づくのです。
彼は犬(ジョン)との目に見えないが確かに感じる「心の間合い」の中で、初めて互いを信頼して心を通わせるということはどういうことかを学んだのです。そしてプログラムが終了し、彼と犬の別れが来た時、彼は泣きながらこう言ったのです。
僕には愛することがどういうことか、心を通わせるためにどうすれば いいのか、それがわからなかった。でもそれをジョンが僕に教えてくれた。ジョン、本当にありがとう。※その後、彼の希望で、ジョンの飼い主になったそうです。
追加更新ですが、日本にも少ないですが似たような活動がありましたので以下に二つほど紹介しておきます。
認定特定非営利活動法人「キドックス」は、不登校や引きこもり等の自立に悩みを抱える子ども若者達の社会参加活動として、飼い主に捨てられた犬の保護・家庭で暮らすためのトレーニング・譲渡活動を行い、若者と犬の両者の社会への再出発を支援しています。➡ 認定特定非営利活動法人 キドックス
千葉県・八街少年院で行なわれている、動物介在活動を知っていますか?「GMaC(ジーマック)」は、非行に走り少年院に入った少年と、人間に捨てられて心に傷を負った保護犬が、訓練を通してお互いに成長し、社会や家庭へ戻るために大切な経験を積むプログラムです。➡ 少年院で保護犬の訓練!犬と心を通わせる更生教育プログラムの効果とは?
記事のラストに、アニマルセラピ−の歴史を簡潔にまとめたサイトの記事を参考として紹介。
「アニマルセラピ− 【取材記3/アニマルセラピ−の歴史】」 より引用抜粋
(前略)
1960年代のアメリカでは、心理学者のボリス・M・レビンソン博士が登場します イエシバ大学の臨床心理学者である彼は、人間特に子供にとってペットとの接触が治療的な利益を与えることを詳細に報告した最初の人ですそのきっかけは、彼にたまたま起こった実体験でした 引きこもりが強くて治療が長引いていた子供が、約束より1時間早く到着したところ、
レビンソン博士の飼い犬であるジングルズが子供のもとへ駆け寄って歓迎しました
それをきっかけに子供は心を開きはじ め、以後のセッションでも犬を介してよい治療関係を作ることができ、他のケ−スでも折を見て犬を登場させるようになったのです
(中略)
1970年代には、オハイオ州立大学医学部のサミュエル・コ−ソン博士とエリザベス夫人が、初めてアニマルセラピ−を系統的に評価することに成功しましたコ−ソン夫妻は、それぞれの患者に合った性質の犬を選び、患者との交流を試みます 精神を病んだ人々は、犬たちに食事を与え、入浴させブラッシングをするという作業に没頭し、やがて自分の身の回りに気を配るようになり独立心が育まれていきました
中には、全くコミュニケ−ションがとれなかった寝たきりの精神病患者が、ベッドを離れついには退院できるほどに回復したという信じ難い例も報告されています
また同じ頃、オハイオ州のリマ州立病院のソ−シャルワ−カ−であるディビット・リ−は、犯罪性のある精神障害者がペットを飼育することによって、
暴力をふるうことが減ったり、モラルを改善したり、信頼レベルを向上させたりするという効果を報告しました
アニマルセラピ−のプログラムのない病棟のほうが、自殺の試みや暴力事件の起こる確率や、薬物治療の請求率が高いことも示しています
同じ頃イギリスでは、一人住まいの高齢者年金受給者に対してセキセイインコか鉢植えを渡し、5ヵ月後に心身調査を行う研究がされたところ、サキセイインコの方に強い愛着を示し、他の人たちとコミュニケ−ションをとることが明らかになりました
世界を震撼させたのは、
1980年、アメリカのエリカ・フリ−ドマンらが発表した研究報告です 彼らは、心筋梗塞の発作後1年経った患者の延命率を調べると、ペットを飼っている患者の方が3倍も生存率が高いことがわかったのです
アニマルセラピ−の中で最も新しいのは、イルカセラピ−です1972年、州立フロリダ国際大学のベッツィ・A・スミス博士が、知的障害を持つ弟にイルカがやさしく接するのを発見したことがきっかけで研究をはじめました
(中略)
どんな病気を持っていようが差別することなく愛情を持って接してくれる動物に、人は愛情を感じ力をもらえる本来ならば、人が人に対してできることなのかもしれませんでも、人の心は複雑で、心の底から相手を思いやって愛情を注ぐことは難しい
それを動物たちは、無償でやってくれるということを気づいたところからアニマルセラピ−の歴史がはじまったように思います – 引用ここまで- (続きは下記リンクより)
引用元⇒ http://gripblog.cocolog-nifty.com/blog/2005/06/3_4c29.html
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